日本でもあらゆる産業で「カーボンニュートラル」を強く意識した動きが加速しています。日経BPではこうした新しい経済潮流をテーマに、日経ビジネス、日経クロステック、日経BP総合研究所の共催で、11月25日(木)から4週にわたってオンラインセミナー「ゼロカーボノミクスを勝ち抜く経営ビジョン ~日本企業はどう取り組むべきか~」を開催いたします(視聴無料、事前登録制・先着順、記事末尾に詳細)。
自動車からのCO2排出量は非常に多く、その脱炭素化の主役が電気自動車(EV)になる可能性は極めて高い。自動車覇権の勝機をEVに見いだした中国は、積極的な振興策を続け、日米欧が支配し続けたエンジン車とは異なる様相のEV市場が形成されつつある。日本総合研究所の井熊均フェローら4人がまとめた新刊『脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボノミクス』(11月3日発売)から、一部を抜粋して紹介する。
(写真:Shutterstock)
中国にとって自動車産業での覇権獲得は長年の悲願だ。
その実現のためだろう。海外の企業の市場参入に中国企業との合弁を義務付けるなど、中国政府はなりふり構わぬ強引な技術導入策を講じてきた。しかし日米欧の有力メーカーの壁は高く、その牙城を崩すことはできないでいる。
従来のガソリン車・ディーゼル車は、100年以上におよぶ地道なエンジン開発の歴史の上に成立しており、有力メーカーが実現しているような高効率なエンジンを模倣することが極めて難しいのだ。
最適な駆動力を生み出すトランスミッション(変速機)などの基幹部品においても日米欧をしのぐことは難しく、2020年においても自動車部品メーカーの売上高トップ10に中国企業の名前はない。それだけ技術と信頼性の壁が高く、先行している有力メーカーと同じ土俵で戦うのは難しいのである。
EVでは日米欧の強みがそがれる
そこで中国が、自動車の覇権獲得への足がかりとして目をつけたのがEV(電気自動車)だ。
EVはその名前の通り電気をエネルギー源としており、モーターが駆動力を生み出すためエンジンが不要になる。モーターは低回転でも大きな力を生み出すことができるので、エンジン車のような複雑なトランスミッションは必要ない。燃料タンクはもちろん、エンジンを冷却するための大型ラジエーター、マフラー(消音器)、クラッチなども不要だ。
結果としてエンジン車よりも構造がシンプルになるため、一般的には部品点数が約3万点から約2万点へと大幅に少なくなるとされている。
これら不要になる基幹部品は、すべて日米欧のメーカーの強みそのものだった。だがEVの時代にはそれが不要となるから、「日米欧の強みがそがれる」ことになるのだ。また、構造がシンプルなだけに参入障壁も格段に低い。中国はそこに「自動車覇権の勝機」を見いだし、EVに先行投資してきたのである。
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