英金融サービス会社カラストーンが英機関投資家を対象に調査している資金流出入状況によると、2020年の株式ファンドは約74億5500万ポンド(約1兆円)の流入超となり、19年(約20億1900万ポンドの流入超)の3.7倍に達した。インデックス型(指数連動型)ファンドへの大幅な買い越しがけん引した。アクティブ型(積極運用型)の売り越しが限定的だったことも寄与した。
英機関投資家、インデックス型ファンドを大幅買い越し
20年の内訳をみると、インデックス型が約80億9300万ポンドの流入超となる半面、アクティブ型は約6億3700万ポンドの流出超だった。インデックス型の流入額は19年に比べ15%増えた。一方、アクティブ型は2年連続の流出超となったものの、19年の50億4300万ポンドに比べ大幅に縮小した。
アクティブ型を支えたのがESG(環境・社会・企業統治)ファンドへの資金流入だ。カラストーンのデータによれば、20年のESGファンドは48億4500万ポンドの流入超だった。このうち9割はアクティブ型が占めたという。つまり、従来型のアクティブ型ファンドは大幅な資金流出に見舞われたが、ESGファンドへの資金流入が急拡大した結果、アクティブ型全体で小幅な流出超にとどまったというわけだ。
ESGファンドに資金流入加速
20年10~12月期に絞ってみれば、アクティブ型の資金流入額はインデックス型を上回った。インデックス型の流入額は約19億2300万ポンドだったが、アクティブ型は約26億8100万ポンドに達した。四半期ベースでアクティブ型がインデックス型の流入額を上回るのは2018年4~6月期以来、10四半期ぶりとなる。これを演出したのがESGファンドへの資金流入で、同期間のESGファンドの流入額は約20億ポンドだった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に各国の政府・金融当局が大規模な経済・金融対策を打ち出したことを受け、世界の株式相場は20年3月ごろを底に大きく持ち直した。それと同時に脱炭素社会といった環境問題や働き方改革などの社会問題への関心が集まり、ESG投資に対する認識が一段と深まった。
「アクティブファンドマネジャーはESGが現在の主流であり、少なくとも当面の間はパッシブファンドよりも優位性を持つ分野であることを喜ぶだろう」(カラストーン)。ESG課題に積極的に取り組む企業を評価しようとする流れは加速し、今後さらにその投資熱が広がる公算が大きい。21年はESG投資が「アクティブ復権」の鍵を握りそうだ。
(QUICKリサーチ本部 荒木朋)
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