世界大学ランキング20位までに日本の大学はゼロ
経済発展のためには技術開発が必要であり、そのためには人材の教育と基礎研究が不可欠だ。大学はその役割を担っている。したがって、大学の状況はその国の将来を表わす。だから、日本の将来を考えるためには 日本の大学が世界でどのような位置づけになっているかを正確に把握する必要がある。 様々な大学ランキングが作られている。しばしば引用されるのは、イギリスの『タイムズ』紙が毎年秋に発行している高等教育情報誌でのランキングだ。 その2022年版であるWorld University Rankings 2022が、2021年9月2日に発表された。世界のトップ10校に入っている大学の数を国別に見ると、アメリカ8校、イギリス2校だが、日本は、残念ながら1校もない。 20位まで広げると、中国が2校(精華大学と北京大学)入ってくるが、日本の大学は、この範囲にも登場しない。日本国内でのトップは東京大学だが、世界ランキングでは35位だ。
優秀大学数を人口あたりで見ると
そこで、検討の範囲を100位までに広げよう。 この範囲に入っている大学数を国別に見ると、次の通りだ。アメリカ 38、イギリス 11、ドイツ 7、フランス 3、カナダ 5。アジアを見ると、中国6、香港4、日本2(東京大学と京都大学)、韓国2、シンガポール2となっている。 トップ100位までに入っている大学を、「優秀校」と呼ぶことにしよう。国の人口が多ければ大学の総数も増えるから、その国で優秀校が多くなるのは当然だ。この点を補正するために、「人口1億人あたりの優秀校数」を考えることにしよう。そして、これを「高度教育力」と呼ぶことにする。 2021年におけるアメリカの人口は3.31億人だから、高度教育力は、38÷3.31=11.48だ。 日本の人口は1.25億人だから、高度教育力は2÷1.25=1.6となり、アメリカの7分の1程度でしかないことになる。 韓国の高度教育力は3.85となり、日本の2.4倍だ。 中国について高度教育力を計算すると、0.42となり、日本より低い。中国が世界に留学生を送り出すのは、当然と言える。 香港とシンガポールを「広義の中国」と考えれば、優秀校は12となるので、高度教育力は0.85になる。しかし、これでもまだ低い。
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