つみたてNISAは、年間40万円までと利用限度額は少ないものの、20年間にわたって運用収益が非課税になるメリットが評価され、利用者は21年6月末で約418万口座に達した。証券投資優遇制度としての同制度は、長年の課題である「貯蓄から資産形成を」促し、ゼロ金利で眠っている個人金融資産を“活きている資産”といえる投資に振り替えて、ひいては、国民生活を豊かにするという意図で設計された。したがって、制度の利用で購入できる商品を「投資初心者にもわかりやすく、かつ、長期・分散・積立投資に相応しい商品」に限定した。結果的に、対象商品は現在までに201本。しかも、大半はインデックスファンドで、アクティブファンドらしい商品は15本程度に限定されている。このアクティブファンドへの過度な制限は、つみたてNISAの利用者にプラスに働いているのだろうか? 対象ファンドのパフォーマンスを検証した。
つみたてNISAの対象商品になる条件は厳しい。条件の第一は、投資信託(ファンド)または、ETF(上場投資信託)であること。そして、販売時手数料が無料(ノーロード)、信託期間は20年以上。さらに、運用に対する報酬である信託報酬も低いことを求め、その上限を定めた。たとえば、国内の株式ファンドの場合は、インデッスクファンドは年0.5%以下、アクティブファンドは年1.0%以下だ。また、毎月分配型と債券型のファンドは除外した。さらに加えて、インデックスファンドについては、その連動をめざすインデックスを限定した。国内株式は、「TOPIX」「日経225」「JPX日経400」「MSCI JAPAN INDEX」の4指数のみなど、国内・全世界・先進国・新興国の株式・債券・不動産投信(リート)について指定インデックスを定めている。
そして、この指定インデックスに連動するインデックスファンド以外のファンドには、さらなる条件を加えている。(1)純資産額50億円以上、(2)信託開始から5年以上が経過、(3)信託期間中の3分の2以上で資金流入超――という条件だ。この3つの条件は全て満たす必要がある。純資産額が小さいファンドは償還期限の前に償還(運用を辞めて資金を投資家に戻す)の可能性がある。一定期間の運用期間がない場合はファンドの運用の良し悪しがわからず、さらに、その間に残高が増えていないと償還リスクもでてくる。そして、資金流入の項目は、頻繁に資金が出入りするようなファンドでは、たとえば解約に備えて一定程度の現金を常に用意するなど資金運用の効率が悪くなる懸念があり、かつ、資金流出が目立てば償還リスクが増すということだろう。20年にわたって非課税メリットが享受できる口座で、対象ファンドが20年も経たずに途中償還されては、制度運営に支障が出るという考えがあったのだろう。
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