こうした中、ロシア軍に包囲されている東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長が30日、NHKのインタビューに応じ、現地の状況について「極めてひどい状況だ。水、食料、電気、暖房、通信手段もない。水がないことが最も大きな問題だ。人道危機の一線を越えている」と述べました。そのうえで「常に市街戦が続いていて市の中心部の50%がロシア軍に占領されている状態だ」と述べ、ロシア軍が中心部にまで侵攻してきていることを明らかにし人道危機がさらに深まることが懸念されています。
マリウポリについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日「ロシア軍は着実に前進し続けている。おそらく数日以内にロシア軍が掌握するとみられる」と分析しています。
ウクライナ側は停戦交渉でNATO=北大西洋条約機構への加盟を断念する代わりとなる新たな安全保障の枠組みをロシア側に提案しています。
これについてロシアの代表団のトップ、メジンスキー大統領補佐官は30日「ロシアが主張してきた基本的な要求を満たす用意があるとウクライナは宣言した。この約束が果たされればNATOがウクライナ領土で足がかりを築く脅威はなくなる」と述べ、評価する姿勢を示しました。
ただロシアが一方的に併合した南部クリミアや東部の親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ地域についての主権問題はロシアが譲るつもりはないと強固に主張し、交渉の行方は予断を許さない状況です。
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