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アクティブファンドって本当にいいの?皆さまの疑問に運用担当者が本音で回答!
「不安定な相場環境の中、これからもS&P500一本持ちで良いのかな?」「かといって、インデックスファンド以外に何を選択すれば良いのか分からない…」このようなお悩みをお持ちではないでしょうか?
楽天証券は、そんなお悩みを解決すべく、2022年4月11日、14日の2日間にわたり「ファンド選び応援セミナー」を開催いたしました。
セミナーでは、運用会社から実際にファンドの運用を担当する方々をお招きし、事前に個人投資家からいただいたファンドに関するさまざまな疑問に対して、本音で回答していただきました。今回は、記事上でそのセミナーを再現! ファンド選びにお悩みの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
アクティブファンドがインデックスファンドを上回れる理論とは?
――今回は、農林中金バリューインベストメンツの常務最高投資責任者、奥野一成さんと、スパークス・アセット・マネジメントのファンドマネージャー、武田政和さんに、アクティブファンドの魅力について語っていただきます。まず、お客さまからのご質問を二つご紹介いたします。
「アクティブファンドがインデックスファンドに勝てないといった記事をよく見ますが、どういった理由で勝てないのでしょうか?」
「アクティブファンドを20年間持ち続けて、本当にインデックスよりもうかるのか? 運用担当者にその自信はある?」
アクティブファンドに対し、このような疑問をお持ちの方は多いと思います。アクティブファンドは、理論上インデックスファンドを上回ることができるのでしょうか?
奥野 理論的にインデックスファンドを上回れますし、自信があるから自分でも毎日このファンドを買っています。当社の「おおぶね」というファンドは自分が買いたいと思う会社だけを組み入れ、15年くらい同じ投資手法で運用しています。
理論的なところで言うと、株価は1株当たりの純利益であるEPSとバリュエーション、すなわち利益の何倍で評価されているかの掛け合わせになっており、長期的に1株当たりの純利益がずっと上がっていけば、バリュエーションは一定のレンジ内で動くので、株価の上昇につながります。利益を出し続けられる強い会社を買っていけば、タイムラグはあるかもしれませんが、株価はついていきます。
では本当に良い会社を選べるのかというのがアクティブ・マネージャーの腕の見せ所なのですが、そもそもインデックスなのかアクティブなのか、という問題提起自体が間違っていると思っております。
次の図は右側がアクティブ、左側がパッシブで、上側は1株当たり純利益がずっと増えていく企業群、下側は逆に1株当たり純利益が増えていないような企業群を表すグラフになっています。
これを踏まえるとアクティブなのかパッシブなのかという以前に、ちゃんと利益が増えていくのかどうかの方がよっぽど重要です。そういう会社をちゃんと選べれば、右上のグラフのナイキのように株価が77倍になるということもあるわけです。
そもそも株価があがる現象というのは利益が鍵になります。だから利益がちゃんと上がるような企業さえ選べればパッシブに勝てると思っています。
(図1)手数料の議論の前に-どの船に乗るかが一番重要-
出所:ブルームバーグより農林中金バリューインベストメンツ作成
武田 インデックスファンドを上回るアクティブファンドは一定数存在します。
ただ、毎年着実にインデックスを上回れるファンドは、世界中を見渡しても存在しないのではないかと思います。ここで重要なのは時間軸で、長期の時間軸であれば、上回れるファンドは存在します。
特にアメリカに比べて日本の方がインデックスを上回る可能性が高いと考えます。アメリカの場合は5年、10年すると市場平均を上回る割合が非常に少ないと言われています。理由としては、アメリカは世界で一番大きな株式市場で、そこで勝ち抜いていくことは非常に難しいためではないかと思われます。
一方、日本の場合は4割~5割ほどアクティブファンドが上回るという統計があります。理由の一つに日本の株式市場には、上場企業に内需中心に成熟しきった企業が多い一方で、成長性に富んだ会社も存在するため、かなり差が大きいからであるとみられています。ゆえに銘柄選択次第ではインデックスを上回る可能性が十分にあると考えています。
また、もう一つの理由に投資家サイドの問題が挙げられます。個人投資家の観点で言うと、日本は金融教育の遅れもあり、まだまだ国内で個人が投資をするということが浸透していないという状況にあります。また海外の機関投資家にとっては、日本というのは言語も含め独特な投資対象にあり、情報がつかみにくいと言えます。
だからこそ、日本に精通した我々のようなアクティブ運用者は情報の面において一日の長があるのではないかと考えます。
どのような目線で銘柄を「厳選」している?
――続いてのご質問をご紹介します。
「なんとなくインデックスにしています。でも中長期ではアクティブの方がいいのではないかと考え始めていますが、どんな目線で運用されているのか興味があります。」といった内容です。
お二人が運用を担当されているファンドはどちらも厳選投資が特徴のファンドですが、「厳選投資」という手法のどういったところに勝機があるとお考えでしょうか? また、銘柄を厳選するにあたり、どのような目線で選定されているのでしょうか?
奥野 株式投資を株券の売買をするだけと思っている人が多いのですが、私は全く違い、構造的に強靭(きょうじん)な企業を探し、その会社のオーナーになることだと思っています。そういった企業を探す三つの条件として1.付加価値の高い産業、2.圧倒的な競争優位性、3.長期的な潮流が挙げられます。
1点目の付加価値の高い産業とは、「人にとって必要なのか」という基準。2点目の圧倒的な競争優位性とは、「戦う人が真っ青になるぐらいの競争力を持っている」ということ。3点目は、「やはり長く続かないと意味がないよね」ということです。
その3点がそろったような「構造的に強靭な会社」を見つければ、オーナーになればいい。オーナーになる、それがつまり、株を買うということなのです。
この3つの条件を満たしているような企業を厳選しているのですが、こういった会社がどのような会社かを簡単に言うと、「値上げができる会社」です。インフレが起ころうが円安になって原材料が上がろうが、コストを付け替えることのできる企業は収益性が全然悪くなりません。
例えば米ウォルト・ディズニーという会社。東京ディズニーランドの1dayパスポートは、30年ほど前に3,900円だったわけですが、2021年には9,400円と、2.4倍に上がりました。この間、世の中がデフレと言われていた中、値段を上げられるのはディズニーが強い証拠です。
ですから、長期的に言うと円安やインフレ、戦争による価格の上下は長期的に見れば全然怖くなく、そういった構造的に強靭な会社を選べるかどうかがポイントだと思います。
武田 少し違った観点からお話をすると、長期的にみると確かに株価は企業業績を反映しますが、一般的な市場参加者が許容できる時間軸を超えてしまうという点で、株式投資には難しさがあります。
私たちはしっかり腰を据えて自分たちの考え方が正しいと判断する場合、一時的に足元の企業業績が芳しくなく株価が下落しても、耐えて保有するということがあります。そういった「胆力」のようなものも重要だと考えています。
また、株式投資はみんなが良いと思っているものを買っても、そう簡単にはうまくいかないケースが多いものです。「アクティブファンドがインデックスを上回るためには」という観点で個別銘柄に落とし込んで話をすると、その企業のビジネスに対する見解が、少なくとも今のマーケットにおいては少数派でないといけないわけです。
例えば、市場が思っているよりも「成長が強い」「利益率が安定していく」というのが今の時点では少数意見かもしれないけれども、それがゆくゆくは自分の見解が正しくて主流派の意見になってくる、その過程で株価が上昇していくので市場が平均を上回れる、ということになります。
でも少数意見のところに自分のお金を入れるのには少し勇気がいります。だからこそ、こういった居心地の悪さを含めて辛抱強く確信度を高く持って運用できるかが重要になってきます。
――確かに少数意見になってしまうとなかなか持ち続けるのも難しく、途中で売ってしまうということもあるかと思いますが、お二人のファンドでは長期視点で、勇気を出してあえて平均から離れ、超過収益を狙いにいくような投資をされているということですね。
奥野 そこにポイントがあるのだと思います。長期でお金持ちになりたい人なんかいなくて、みんな簡単に短期的にもうけたいと思っているからです。
しかし、誰しもが的確にマーケットのタイミングを選べるなんて言うのだったら、最初から働く必要なんかないわけですが、みんなそんなことはしていない。つまりそんなことはできないし、この世界にプロとして何年いても無理なのです。
だからこそ、いいビジネスをコツコツ淡々と買っていく。誰しもが今のマーケット環境はしんどいなと思っているような時でも、ちゃんとその企業の強さを信じることができるか。それが我々の仕事です。
信じるというのは単純に宗教として信じるのではなく、実際にその会社経営者に会って、工場を見て、競合他社も確認して徹底的に調べたからこそ、オーナーになれるというわけです。
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