新型コロナウイルス対策として、政府が英アストラゼネカ社から購入した1億2千万回分のワクチンのうち、半分の約6千万回分には使い道がなく、大量に廃棄される可能性があることが朝日新聞の取材でわかった。副反応として血栓症の報告があり、接種が広がらなかった。
一部はすでに有効期限が切れたとみられ、厚労省幹部は「血税で買ったものだが、期限が切れたら捨てるしかない」と話す。
国内での感染が広がっていた2020年8月、政府は翌年初頭から1億2千万回分の供給を受けることで同社と基本的に合意。12月に契約した。
契約後、頻度は極めて低いが副反応として血栓症の報告が海外であり、国内での接種対象は原則として40歳以上に限られた。
1、2回目の接種回数は約11万回にとどまった。
政府は約6千万回分を上限として海外諸国への供与を決め、外務省によると、これまで東アジアを中心に約4300万回分を送った。
残りの約6千万回分について、厚労省予防接種室の担当者は「使い道がなく、宙に浮いた状態だ」と認める。
朝日新聞の取材によると、1億2千万回分の多くは21年中に国内で製造済みで、在庫分は次々に6カ月の有効期限を迎えているとみられる。今後大量廃棄される可能性もある。
厚労省と同社は契約内容の守秘義務を理由に、期限切れを迎えたワクチンの有無を明らかにしていない。
一方、厚労省の担当者は「輸入が途絶えるなど不測の事態に備え、複数社と契約し、かつ人口より多い量を買う必要があった。無駄を生まないことには限界がある」と説明している。(枝松佑樹、渡辺淳基)
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