発想の転換で、水や温度に反応して柔らかくなるゴムを開発
アクティブトレッド技術のポイントについて、山本氏は「アクティブトレッドのポイントは2つあります。1つ目は水に触れると柔らかくなることです。タイヤは濡れた路面で滑りやすくなるためこれまでは水は排除すべきものと考えてきましたが、一方で水を味方にできないだろうか、と言う意見もありました。そこでわれわれは発想を転換いたしました。水に触れることで分子レベルの結合が離れることにより性質がスイッチし、しなやかなゴムへと変化。このことにより路面にしっかりと密着しグリップ性能が向上するのです」と説明した。
そして、2つ目のポイントについて、山本氏は「低温で柔らかくなるということです。一般的に路面が冷えていると、タイヤのゴムが硬くなり路面への密着しにくくなります。そこで凍った路面でのみ柔らかくなるゴムを作れないだろうか? そんな常識を壊すような材料を模索してきました。そして画期的な新素材を作り出すことができました。この素材と当社が培ってきたゴム材料技術を融合させることにより、低温状態でもゴムが柔らかく路面に密着し、冬の氷上であっても 安心なドライブの実現を目指します」と紹介した。
次世代オールシーズンタイヤを2024年秋に発売へ
ダンロップでは、新たに発明された「アクティブトレッド」技術を採用する次世代オールシーズンタイヤを2024年秋に発売するという。
山本氏は「このように路面の状況に合わせてタイヤのゴム自体が変化をするという、ゴムの常識を変える技術を初めて搭載する次世代オールシーズンタイヤは2024年の秋に発売いたします。突然の降雨、降雪でも安心して運転していただけるとともに、冬の時期のレジャーでもタイヤを履き替えることなく出かけることができるので行動範囲が広がります。そしてアクティブトレッドはさらに進化をします。今後主流となるEVは、低燃費性能と雨天や降雪時のグリップ力との両立が求められています。これらは本来、相反する性能でございますが、アクティブトレッドは路面にあわせてゴムが自動で性質を変えることでタイヤ性能を異次元で両立可能にする技術であるので、EV用のタイヤにも活用してまいります。また、この性能は、自動運転車やカーシェアリングなどでも安全な走行を確保することができます。将来は地域、季節にかかわらず、使い続けることができるタイヤを目指してまいります。タイヤの控えを減らすことで地球環境の負荷を低減し、サステイナブルな社会の実現にも貢献してまいります」とアクティブトレッド技術への期待感を語った。
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