投資情報部 川上雅人
2024/01/09
インデックス vs アクティブ 2023年の振り返り
2023年のマーケットをまずはインデックスファンドで振り返ります。米国株式のS&P500、全世界株式(オール・カントリー)、日経225(日経平均)のインデックスファンドについて年末からの相対パフォーマンスを比較したものが図表1となります。S&P500、全世界株式、日経平均のインデックスファンドは揃って年間で3割を超える上昇となりました。米国株式市場では大手IT企業を中心とした株価上昇となり、国内株式市場では東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの上場企業に対して改善策を要請したことや円安ドル高などから日経平均は大幅上昇となりました。1年間ではドル円レートが6.9%の上昇となり、為替ヘッジなしの外国株式ファンドの価格を押し上げました。S&P500と比べて全世界株式の上昇がやや劣後したのは、新興国株式や欧州株式が米国株式と比べて上昇が小さかったためです。11月以降はドル円レートは円高ドル安となっていますが、株価上昇を受けて、インデックスファンドの価格は底堅い動いとなっています。
国内株式ファンドでインデックスファンドとアクティブファンドを比較したものが図表2となります。アクティブファンドはSBIプレミアムセレクトのファンドで比較しました。(SBIプレミアムセレクト(SBIセレクト)の詳細はこちらをご参照ください。)
国内株式ファンドでは半導体株などの上昇を受けて情報エレクトロニクスファンドが最も上昇し、明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん)は組入れている中小型株の上昇が寄与し、好成績となりました。日本好配当リバランスオープンは7月以降に好配当株が選好されたことからニッセイ日経225インデックスファンドを上回る上昇となりました。日本ニューテクノロジー・オープン(愛称:地球視点)は、組入れているテクノロジー株の上昇により10月までは日経平均インデックスファンドを上回っていましたが、11月以降は伸び悩んだためここでは最下位となりました。
米国株式ファンドでインデックスファンドとアクティブファンドを比較したものが図表3となります。米国株式ファンドでは2023年好成績となったNASDAQ100インデックスファンドを加えました。トップはiFreeNEXT NASDAQ100インデックスで、大手IT企業の構成比が高いことから最も上昇しました。続いてアライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)、米国インフラ関連株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:グレート・アメリカ)の順となりました。2022年の株式市場の下落局面で好調だったインフラ関連株ファンドが2023年は上昇相場で苦戦しました。
全世界株式ファンドで比較したものが図表4となります。全世界株式では、半導体株の大幅上昇を受けて野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)が絶好調でした。離れた2番手はインベスコ 世界厳選株式オープン(為替ヘッジなし)(年1回決算型) (愛称:世界のベスト)となり、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を上回りました。キャピタル世界株式ファンドは、全世界株式インデックスファンドとほぼ同程度の上昇となり、モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)は優良株中心のポートフォリオで相対的に価格変動が小さいのが特徴ですが上昇局面で劣後しました。
新興国株式ファンドや債券・REITファンドで比較したものが図表5となります。参考として米国10年国債利回りも表示しました。新興国株式ファンドの中では、イーストスプリング・インド消費関連ファンド、 ピクテ新興国インカム株式ファンド(1年決算型)が相対的に好パフォーマンスとなりました。ダイワ・US-REIT・オープン(年1回決算型)為替ヘッジなしは10月までは苦戦していましたが、11月以降の金利低下を受けてパフォーマンスが急回復しました。フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長型)D(為替ヘッジなし) は債券ファンドのため株式ファンドと比べて安定的な値動きとなりました。同ファンドは11月以降の金利低下がプラス要因となりましたが、円高ドル安によるマイナス要因で価格上昇は小幅にとどまりました。フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(資産成長型) は、日銀の金融政策修正に関する警戒感もあり、国内株式が上昇する中で苦戦しました。
図表1 主要インデックスファンドのパフォーマンス比較 (2022年12月末~2023年12月末 2022年12月末=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成
※S&P500インデックスFはSBI・V・S&P500、日経225インデックスFはニッセイ日経225インデックスファンド、全世界株式インデックスFはeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、ドル円は三菱UFJ銀行公表の対顧客外国為替相場仲値
図表2 国内株式ファンドのパフォーマンス比較 (2022年12月末~2023年12月末 2022年12月末=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
図表3 米国株式ファンドのパフォーマンス比較 (2022年12月末~2023年12月末 2022年12月末=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
図表4 全世界株式ファンドのパフォーマンス比較 (2022年12月末~2023年12月末 2022年12月末=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
図表5 新興国株式ファンド等のパフォーマンス比較 (2022年12月末~2023年12月末 2022年12月末=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
2024年の投資戦略は?
2024年1週目のマーケットは米国株式の上昇が一服し、2023年好調だったNASDAQを中心に下落。低下していた米国金利が再び上昇し、円安ドル高に転じるなど波乱含みの動きとなっています。
2024年も企業業績の拡大に伴う国内株式の上昇を期待するなら、2023年好調だったアクティブファンドの活用が有効と考えます。アクティブファンドの活用においてはテーマ(テクノロジー株や中小型株、好配当株など)を分散して投資した方がパフォーマンスの安定化につながることが期待されます。一方で、国内株式の調整局面では、2023年はほぼ横ばいの動きとなったJリートファンドへの分散投資が有効になる可能性もあります。また、国内資産への投資は円高局面においては相対的に優位になるといえます。
米国株式や全世界株式については、金利低下で成長株の好調が続くなら世界半導体株ファンドやNASDAQ100インデックスへの分散投資が有効といえます。世界半導体株ファンドやNASDAQ100インデックスは値動きが大きいため、積立投資による時間分散が効果的です。米国経済および世界経済の減速による株価の調整局面ならディフェンシブ色の強いインフラ関連株式やUSハイ・イールドなどの債券投資が選択肢と考えます。
ドル安局面を想定して米国株式からの分散を図るなら、ドル安局面において相対的に好パフォーマンスが期待できる新興国株式への分散投資も有効といえます。
2023年は好調だった主要なインデックスファンドは、2024年も企業業績の拡大で好調が持続することが期待されますが、2022年のように世界景気の減速などで調整局面を迎える可能性もあります(図表6)。3年間で日本を除いては先進国の国債金利も上昇し、債券への投資妙味も復活しました。日銀の金融政策次第では長らく続いた円安が転換点を迎える可能性もあります。2024年は新NISAで非課税枠が大きく拡がることもあり、様々な資産やテーマに分散投資することが重要になると予想します。
図表6 主要インデックスファンドの3年パフォーマンス比較 (2020年12月末~2023年12月末 2020年12月末=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンドは図表1と同様)
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