100人に1人の赤ちゃんが、生まれつき心臓に異常がある「先天性心疾患」を抱えて生まれてくるという。彼らはとてもか弱い存在であるため、他の健康な赤ちゃんと比べると不幸だと思う人もいるかもしれない。
しかし、頑張って生きようとする彼らの姿は、両親をはじめとする家族に計り知れない感動と幸せを与えるものだ。今、そんな頑張る赤ちゃんの1人が手術を乗り越え、かわいらしい微笑みで多くの人々に感動を与えている。
脳卒中を乗り越え、笑顔で応える
昨年8月30日、米国ニューヨーク州バッファローに暮らす両親の元に生まれたセオドア”テディ”ネルソン君。左心低形成症候群と呼ばれる先天性心疾患を抱えており、心臓の半分が機能していなかった。先天性心疾患はアメリカで最も多いとされる先天異常だが、テディ君のケースは稀だ。
このままでは生きることが難しかったテディ君は、生後15分にして生まれて初めての手術を受ける。しかし、この手術は応急処置のようなもので、テディ君は長い入院生活を送ることになった。
その後テディ君は11月13日、2度目の心臓切開手術を受けた。手術は困難を極め、テディ君は脳卒中を起こしてしまう。家族は絶望する中、テディ君の元に奇跡が舞い降りた。
生まれてから185日経過した2月6日、テディ君は家族に向かって初めて微笑みかけたのだ。両親は「オーマイガー!」「気分はどうだい?」「愛してる……」と歓喜の声をあげた。
テディ君の母親のアレクサンドリア・ネルソンさんは、この時の心境について、「脳卒中になってしまったテディが笑顔を見せられるようになるかどうか、とても不安に思っていました。しかし、テディが素敵な笑顔を見せてくれたことで、きっと障害を克服できると、大きな希望を持つことができました」と『Good Morning America』に語っている。
初めて家路につくテディ君
テディ君の両親はペンシルベニア州ピッツバーグの「UPMC小児病院」に入院しているテディ君と出来るだけ長く過ごすため、土曜日か日曜日から水曜日まで、約380kmもの道のりを運転して通っている。
アレクサンドリアさんは『WKBW-TV』の取材に、「親として、子どものために地球の果てまででも行って戻って来るくらいの気概を持っているのですが、実際、テディがいるピッツバーグはそれほど遠く感じられません」と答えている。
しかし、テディ君の両親の長い旅はもうすぐ終わりそうだ。テディ君は3度目の手術を受けた後、大好きな家族が住む家に初めて帰ることができるという。
アレクサンドリアさんは、「人生が目まぐるしく変わっていく中で、現実を取り戻したいと思うのは自然なことでしょう。私にとって息子と娘と夫と家にいるということは、何よりも手に入れたい現実なのです。今は、その日が巡ってくるのをとても楽しみにしています」と明かした。
「テディの半分だけの心は、2倍の愛を届けます」といつも言っているというアレクサンドリアさん。もしかすると、テディ君の生み出した愛は2倍という数字ではきかないのかもしれない。
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