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Wednesday, March 11, 2020

復興状況 約半分が「思い描いたより悪い」 被災者アンケート - NHK NEWS WEB

岩手県宮古市の田老地区で老舗の菓子店を営む田中和氣子さん(63)は、今回のアンケートの自由記述に「思い描いていた未来のようにはなっていない」とつづりました。

田中さんは東日本大震災の津波で自宅と店舗、そして工場を流されましたが、それでも震災の直後は前向きな気持ちになれたと言います。

田中さんは、当時の心境について、「すべてを失いましたが、家族で住宅フェアや見学会に行って再建するならどんな家がいいかと考えたりして、不謹慎かもしれないけど、楽しい、夢が持てた時期でした。店の再建もできない訳がない、お菓子屋さんをまたやるんだと、当然のように思っていました」と振り返りました。

しかし、再建は当初思い描いたようには進みませんでした。仮設住宅で不自由な生活を送りながら仮設店舗で営業を続け、震災の2年後には工場を再建。しかし、売り上げは震災前の10分の1にも届かず、不安材料だけが増えていく日々が続きました。

田中さんは震災2年のアンケートに、▽「震災1年頃までは明るい夢を持てたが、それが2年たっても実現出来ない。むなしさを感じる時が多々ある」と書き、震災3年のアンケートには「仮設3度目の冬はマイナスイメージの言葉しか思い浮かばない。全てを失った震災直後は、それでも立ち直るという強い意志と希望が芽吹いていた。当時の思いは3年で日に日にやせ細り、しおれかけている」と記しています。

当時の胸の内について田中さんは「復興のつち音が響きたくさんの人が来て復旧復興に尽力してくれていることが励みになって自分も明るい気持ちになれたが、そういう人たちが去っていくと人が減り静かでさみしくなった。売り上げがゼロの日もあり、切なくて、自分たちでお菓子を買ってレジにお金を入れたこともあった」と語りました。

それでも「完全復旧する」と意気込み、店の再建という夢に向かって進んでいた田中さんに「建設費の高騰」が追い打ちをかけました。復興需要の増大などで震災前1坪あたり50万円程度だった工事費用が、2.5倍近い120万円程度にまで上がったのです。

工場に加え震災から5年後に自宅を再建し、すでに多額のローンを組んでいた田中さんは、震災6年のアンケートに「歩みが減速して、1度勢いを失うと、強い気持ちを持続させるのは難しいと実感している。借金を増やしてでも店舗再建を目指すことは正しいことなのだろうか?」などと、自分が選んだ道は正しかったのかと自問自答を繰り返していた当時の心境を記していました。

震災から6年半近くたった2017年の夏、仮設店舗の退去期限が迫る中、田中さんは店の大きさを当初の計画の半分程度に縮小してようやく再建を果たすことができました。

田中さんは「店と工場が離れてしまうなど当初考えていなかったことが重なった。行政の方針が二転三転して読めないのでその時その時で対処していたら借金が1億を超えてしまった」と話しました。

ところが、ようやく戻ることができた街は思い描いた姿とは変わっていました。住宅が高台に移転し商店街もなくなったため店の周囲ににぎわいはなく、震災前は大勢いた自転車や徒歩で店に来る客は今はほとんどいません。

田中さんは「元の場所に戻ったら悪くても震災前の半分は売り上げがあるだろう」と思っていたと言いますが、震災の影響で商品の卸し先が廃業したこともあって、売り上げは震災前の3分の1程度にとどまっています。

「元の街ではなく、別の街で商売していると気持ちを切り替えた」という田中さんは、震災9年を前に「最初のころは夢があったけど、現実の壁に阻まれ、紆余曲折しながら、あきらめるでもなく折り合いをつけながらここまで来た感じがします。リュックサック1つで逃げて助かってから、工場は建てたし、家は建てたし、店も建てたし、よく頑張ったなと思います。でも、まだこれから死ぬまで借金返さないといけないから頑張らないといけないなって自分に言い聞かせています」と語りました。

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