7月7日、同じ病院で生まれた主人公・鈴愛(すずめ)と幼なじみの律(りつ)は、付いては離れを繰り返し、人生を共にしていく。架空の町「東美濃市梟(ふくろう)町」を舞台にした2018年放送のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」は大ヒットとなり、ロケ地の岐阜県恵那市岩村町は聖地巡礼に沸いた。「うんま(うまい)!」を求めて五平餅の人気にも火が付いた。
「町の姿が一変した」と振り返るのは恵那市観光協会岩村支部の加藤勝也さん(68)。県内の数カ所がロケ地候補になり、昭和の雰囲気が残る西町一丁目商店街に白羽の矢が立った。放送の半年以上前に撮影がスタート。漬物屋が銭湯、民家がそば屋に変身するなど、商店街ごとドラマ仕様になった。
「ふくろう商店街」のアーチは、商店街近くの岩村休憩所(旧岩村振興事務所)に残され、撮影に使われた看板も多数展示。劇中で描かれた1971、80、89年の商店街の変遷が分かる。鈴愛が発明した「岐阜犬」や、鈴愛役の永野芽郁さんが番組ポスターで履いていた青いスニーカーなどの"お宝"も飾られている。
西町一丁目商店街は現実でも「ふくろう商店街」と名を変えた。五平餅屋「みはら」は80年開業。店主長尾美佐子さん(77)は「芽郁ちゃんが店に来て一緒に焼いたの」と懐かしむ。
長尾さんは劇中の五平餅作りを指導。「ロケ中は律役の佐藤健くんの追っかけが押し寄せて」と含み笑いを浮かべる。一番好きな場面は、名ぜりふ「うんま!」が飛び出した漫画家秋風羽織が五平餅を食べた瞬間。「私は人生イコール五平餅。大切な人たちとのつながりをつくってくれた」
商店街から西、明知鉄道の線路を越えてすぐの岩村河川公園は、小学3年の鈴愛が飛び石で遊ぶ最中に左耳の失聴に気付く重要なシーンのロケ地。岩村川支流の一色川が静かに流れる。
ドラマ終了後、商店街が落ち着いてきた頃、空き家を活用して毎週金曜日から日曜日に地域の野菜や食品を販売する「ふくろう市場」を開いたのが佐々木繁典さん(53)。ドラマの記憶が消えないよう、「今後3年が勝負」と意気込む。
商店街は今、新型コロナの影響で客足が遠のいているという。鈴愛は失聴をマイナスと思わず、発明に生かした。鈴愛のたぐいまれな明るさが、苦境を打ち破るヒントになるかもしれない。
【作品紹介】
1971年7月7日に生まれた、うかつだが失敗を恐れない主人公・楡野鈴愛(にれのすずめ)が、病気による左耳の失聴を乗り越え、岐阜県と東京を舞台に高度成長期の終わりから現代までを駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでの物語。美濃加茂市出身の脚本家北川悦吏子さんのオリジナル作品。
カテゴリ: 動画
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