新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっており、ヘルスケア業界のエコシステムをデータ主導で今すぐ見直す必要があります。日本も例外ではありません。東京オリンピックの開会式が開かれた7月23日には4204人だった新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が、閉会式前日となる8月13日には1万5740人と3.7倍に増加、第5波へと突入しました。爆発的な感染拡大で病床不足となり、医療崩壊といえる事態となっています。
8月には重症者以外は原則自宅療養とする方針が定められ、自宅療養中に亡くなる人も現れています。8月16日週の救急車を呼んでも受け入れ先の病院が決まらない「救急搬送困難事案」は3207件、そのうち感染の疑いがあるケースは1617件と、深刻な状況となりました。8月25日のデータでは、東京の重症者病床使用率は94%に達しています(参考1、参考2)。
世界的な新型コロナウイルス感染症によりヘルスケア業界は大変な混乱に陥っていますが、アクティブインテリジェンスを活用していれば、ここまで深刻な事態になることを回避できたはずです。
日本における新型コロナウイルス感染症の難問
ヘルスケア領域では毎日膨大なデータが生まれており、各都市の病床占有率、処方薬の需要など、さまざまなデータが頻繁に変動します。そのような、変化に富んだ動的なデータを分析し状況に応じた行動を自動的に開始できるインテリジェントな仕組みがなければ、時間によって変動する命を左右するかもしれない情報を見逃す危険性があります。
日本では、若年層の新型コロナウイルス感染症の新規感染者拡大を受けてワクチン接種が急がれる中、厚生労働省は接種記録を一元管理するシステムの情報により「在庫がある」と見なした自治体への供給量を1割削減していました。しかし、北九州市では個別に接種した4万回分の接種記録が入力されていなかったためにワクチンが余っていると認識され、供給が削減されてしまったという事態が発生しました。
状況が変化した場合に備えた能力構築や供給停止の可能性または需要過多に備えた計画が、政府と地方自治体あるいは医療施設ごとに大きな差があるのが現状だといえます。
新型コロナウイルス感染症に対する実際の世間の反応は、地方自治体の組織や官僚制度によっても異なりますが、アクティブインテリジェンスの仕組みを生かせば、担当部署に危機を知らせ人命にかかわるリスクを最小限に減らすことができます。
例えば、第5波が確認された後、事象データを追跡して、ウイルス拡大の方向性をリアルタイムで予測すると同時に、新型コロナウイルス感染症対応に必須の物資に対する現在および将来の地域全体での需要も見積もることができたはずです。またこれによりサプライチェーンや重要なインフラストラクチャーの強化、優先順位付け、構築を事前に行うことができたでしょう。実際にパンデミックが始まった時、武漢における異常な症例のクラスターを知らせたAI(人工知能)ベースの流行リスクソフトウェアである「BlueDot」は、ウイルス感染が広がる最初の都市の予測に成功しています。
アクティブインテリジェンスは、政府、地方自治体、民間組織、そしてNGOがパンデミックに対処する際にも役立ちます。必需品に関するスマートでリアルタイムなデータダッシュボードがあれば、さまざまな商品の地域における動的需要を明らかにして、供給や流通を自動的に優先順位付けし、緊急の需要を満たすことができます。
このようなインサイト主導型の自動化により、ヘルスケアのトップはサプライチェーンを管理する煩わしい作業の代わりに、もっと戦略的な関わり方ができるようになります。例えば、ワクチンの需要、供給、および移動をより相対的にリアルタイムで透明性をもって把握できるようにすることで、ワクチンの供給不足や、廃棄も減らすことができます。
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