国連世界食糧計画(WFP)は25日、アフガニスタンに緊急人道支援を直ちに届けなければ、この冬に数百万人が餓死すると警告した。
WFPは、アフガニスタンで人口の半数以上にあたる約2280万人が急性の食料不安に直面しており、5歳未満の子供320万人が急性の栄養不良に陥る恐れがあるとしている。
「アフガニスタンは現在、世界最悪の人道危機のひとつに直面している。まさに最悪そのものかもしれない」と、デイヴィッド・ビーズリーWFP事務局長は述べ、「大惨事に向けて秒読み状態だ」と警告した。
都市部でも食料不安
WFPは冬が近づくにつれて、ただでさえ人道支援がなくては生存できないアフガニスタン人は、さらに孤立してしまう恐れがあると指摘。またアフガニスタンでは初めての現象だとして、都市部の住民も農村部と同じような食料不安に苦しんでいるとした。
国連食糧農業機関(FAO)のク・ドンギュ事務局長は、「冬の影響で国内の大部分に人道支援が届けられなくなり、農家や女性や幼い子供や高齢者を含む何百万人もの人が、凍える冬に飢えてしまうのを防ぐため、効率的かつ効果的に支援物資の提供を加速させ、拡大させるのが、喫緊の課題だ」と述べた。
WFPは今年9月、アフガニスタンの世帯の93%が、十分な食事ができていないと報告。干ばつが食料供給に影響を及ぼしており、小麦の生産が40%ほど落ち込んでいると指摘した。10月にも、救命措置を直ちに受けられなければ重度の急性栄養不良で死亡する恐れのある子供が、100万人いると報告していた。
9月にスイス・ジュネーヴで開かれた国際会議で、国際社会は計10億ドル以上の支援をアフガニスタン市民に提供すると表明。その3割はWFPに提供することになっていた。
しかしWFPは25日、実際には約束された支援金の3割しかまだ提供されていないと説明。必要な食料支援をアフガニスタンに届けるには、最大で月2億2000万ドルが必要になる可能性もあり、各国が現在約束している援助額は「大海の一滴」にしかならないとしている。
アフガニスタンの食料危機は、水不足と深刻な干ばつによってさらに悪化している。アフガニスタンが厳しい干ばつを経験するのは4年ぶり。
5カ月以上無給
これを機に、以前から外国からの援助に大きく依存していた脆弱(ぜいじゃく)な経済はさらに弱体化した。欧米諸国や世界銀行は支援を停止し、国際通貨基金(IMF)はタリバンによる資産使用を停止した。
ひとつの国の国内総生産(GDP)の10%以上が国外からの援助による場合、その国は援助に依存しているとみなされる。世界銀行によると、アフガニスタンは昨年のGDPの約4割を国際援助に依存していた。
西部ヘラートの教師はBBCに対して、「最後に給料をもらってから5カ月以上たっている」と話した。「生活は苦しい。自宅にあるものはなんでも売っている。飼っていた動物も売って、木材として売るために木を切り倒している」。
南部カンダハルの男性は、「ここの人たちは困窮している」と話した。「昨日は、地元のホテルでごみ箱をあさって、残飯を集めている女性を見た。なんでそんなことをするのか尋ねると、ほかに方法がないのだと言っていた。子供たちに食べさせるものを探しているのだと」。
からの記事と詳細 ( アフガニスタンの食糧危機が深刻化、人口の半分に影響 国連警告 - BBCニュース )
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