新型コロナウイルスの感染急拡大を受けた「まん延防止等重点措置」が21日、愛知、岐阜、三重の東海3県を含む13都県で始まった。この日は愛知、岐阜両県で1日当たりの新規感染者が過去最多を更新。自治体トップは改めて感染防止対策の徹底を呼びかけたが、繰り返される行動規制に飲食店関係者からは「もう慣れた」とため息が漏れ、感染症の専門家からは効果への疑問の声も上がった。
愛知県は21日、コロナ感染者を新たに3187人確認したと発表した。1日当たりの新規感染者は2日連続で3000人を超え、3日連続で過去最多を更新した。大村秀章知事は記者会見で「非常に厳しい状況だ」と述べ、行動自粛や飲食店への時短要請、感染防止対策の徹底を改めて求めた。
名古屋市瑞穂区で喫茶店を営む武馬友美さん(40)は「最近ようやく活気を取り戻してきたところだったのに」とため息。コロナ感染者の急増により、ランチは主婦や家族連れの利用が減少。モーニングはコロナ前の半数以下の状態に陥っているという。
一方で、油や肉など食料品の値上げが続く。「サラリーマンのお客さんが多いので価格はできる限り変えたくない」と武馬さん。食品の仕入れ業者から「物流が回らず残業が無くなった」との声を聞くといい、「感染者が増えれば、サービス業はどこも影響が出てくる。みんなぎりぎりの状態で踏ん張っているのだから、『夜の店』だけでなく一律に給付金を出すべきだ」と訴える。
この日、過去最多となる577人の新規感染者が確認された岐阜県。感染対策を講じる認証店かどうかにかかわらず全ての飲食店に午後8時までの営業時間短縮と酒類の終日提供自粛を要請している。
JR岐阜駅北口地区で系列の6店舗を展開する「花串庵」グループは、要請期間が終了する2月13日まで全面休業することを決めた。運営会社の小野木浩司社長(61)は「営業しても客がこない。予約のキャンセルが続き、新しい予約も入らず、新規の客もこない『三重苦』だ」と明かし、「協力金がもらえることや従業員の体のことを考えると、休むのがベスト」と休業を決断した。コロナ禍で一時期は「昼飲み」営業を実施するなど試行錯誤を重ねたが、「焼け石に水」だったという。「1回目や2回目の時短要請では腹立たしさや悔しさがあったが、ここまでくると慣れてしまった」
通常は午後5時から午前0時まで営業している同地区の別の居酒屋も完全休業を決めた。男性従業員(41)は時短要請について「感染状況を見るとやむを得ない」と話す一方、「他県のようにもう少し飲食店への制限を緩和してほしい」と本音を漏らした。
一方、愛知県立大の清水宣明教授(感染制御学)は、感染が急拡大する中での重点措置の効果に疑問を呈する。オミクロン株による第6波では無症状者が多く、実際の感染者は発表を大きく上回ると推測される。「すでにまん延し、飲食店でも感染はするが拡大の駆動力にはなっていない。時短要請や行動の自粛を求める行政の役回りは終わった」と指摘する。
その上で「今、行政がやるべきは患者にトリアージ(治療優先順位の選択)をし、リスクの高い患者に医療資源を集中して重症化を防ぐこと。感染の抑制は個人が生活レベルで対策を徹底するしかない」と話す。【熊谷佐和子、加藤沙波、太田敦子】
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