がんは虚血性心疾患に次いで世界第2位の死因であり、がんを発症しやすいリスクを増やす「危険因子」の存在が指摘されています。ワシントン大学医学部の研究チームが、世界全体におけるがんの死亡例の半分が危険因子に起因するものであるという調査結果を発表しました。
The global burden of cancer attributable to risk factors, 2010–19: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019 - The Lancet
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)01438-6
Smoking and other risk factors cause almost half of cancer deaths, study finds | Cancer | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2022/aug/18/cancer-death-risk-factors-smoking-alcohol-global-study
今回発表された研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団による資金提供を受けたもので、2010年から2019年までの204カ国におけるがんによる死亡例に焦点を合わせ、23種類のがんと、34種類の「がん発症リスクを高める危険因子」を調査しました。
調査の結果、がんで亡くなった全男性の50.6%に当たる288万人が「がん死亡のリスク要因となる危険因子への曝露(ばくろ)」が原因とされています。また、女性の場合は36.3%に当たる158万人が危険因子への曝露が指摘されています。世界的に見た危険因子のトップは男女とも「喫煙」で、次いで「アルコール」、「高BMI」でした。
また、危険因子に起因するがんの死亡例で最も多かったのが「気管・気管支・肺がん」で、全体の36.9%を占めていました。女性だと2位が「子宮頸がん(17.9%)」、3位が「結腸・直腸がん(15.8%)」、4位が「乳がん(11%)」でした。男性の場合は2位が結腸・直腸がん(13.3%)、3位が「食道がん(9.7%)」、4位が「胃がん(6.6%)」でした。
危険因子によるがん死亡率が高い地域は、1位が中央ヨーロッパ(人口10万人当たり82人)、次いで東アジア(人口10万人当たり69.8人)、北アメリカ(人口10万人当たり66人)、南アメリカ(人口10万人当たり64.2人)、西ヨーロッパ(人口10万人当たり63.8人)でした。
もちろんすべての症例や死亡が予防できるわけではなく、危険因子に触れていなくてもがんを発症し、亡くなるケースも存在します。それでも、世界最大の独立系がん研究機関であるCancer Research UKは、「禁煙や節酒、健康的な体重の維持、適度な日光浴、バランスのとれた食事は、リスクを下げることができます」と述べています。
ワシントン大学医学部保健指標評価研究所のクリストファー・マレー所長は「本研究はがんの負担が依然として重要な公衆衛生の課題であり、世界中にその規模が拡大していることを示しています。喫煙は世界的に見てもがんの主要な危険因子であり、他にもがん発症に大きく寄与しているさまざまな要因が存在しています。私たちの発見は、政治家や研究家が地域的、全国的、あるいは世界的にがんリスクを上げる危険因子を特定するのに役立つことでしょう」とコメントしています。
オタゴ大学のダイアナ・サルファティ教授は「危険因子を断ち、曝露を低減することは、がんによる将来の不安を減らすための最善の希望です。この不安を減らすことは自身の健康と福祉を改善するだけではなく、人体へのさまざまな影響と医療関係の財政的なリソースの圧迫を緩和することにつながります」と述べました。
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