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Monday, August 22, 2022

燃料計はいいかげん!?「メーターが半分でも実際のタンク残量が半分とは限らない」 - モーサイ

燃料メーターが「リアルタイムに正確な表示をしていることはほとんどない」

バイクに長く乗っている人の中には「燃料メーターの表示は、当てにならない」と感じているのではないでしょうか。実際、ガソリンスタンドで満タンにすると、燃料メーターはフル状態の表示が長く続き、目盛りが半分を過ぎたあたりから一気に減りが早くなる……といった振る舞いをしている印象もあります。

はたして、燃料メーターの表示はいいかげんなのでしょうか。結論をいえば、リアルタイムに正確な表示をしていることはほとんどありません。

燃料メーターを表示する仕組みとは

その理由として、ひとつには正確に燃料を計測するのが難しいという事情があります。

燃料タンクの残量を計測するには、古典的な手法としてはフロート(浮き)の位置によって測るというものがあります。満タン状態であればフロートの位置はおおむね安定していますが、燃料が減ってくるとタンクの中で波打ったりしますからフロートの位置は大きく変化します。また道路や駐車位置の勾配によっても影響を受けます。

もし、フロートの動きにリニアに反応するような設計にするとメーター上では燃料が増えたり減ったりといった振る舞いをすることになり、水平に止めているときしか役に立たないメーターになってしまいます。

それでは燃料メーターとしてかえって実用的ではありませんから、フロートが多少動いたとしても影響ない程度の、かなりアバウトな表示をするように設計しているという面があります。

最近のバイクでは、フロートではなくデジタルなセンサーを使っていることが多いのですが、それでも走行中に燃料が偏るという症状が起きるのは変わりません。結局、かなりアバウトにしておくことが、使い勝手という点では有利なのです。もちろん、技術を駆使すればリアルタイムに常に正確な残量表示をすることも可能でしょうが、燃料メーターにそこまでコストをかける意味もないでしょう。

結局のところ、だいたいの残量がわかっていればいいというのが大半のニーズなので、現状の燃料メーター設計がスタンダードになっているといえます。

余談ですが、電気自動車の場合はそうした偏りは起きませんので、常に正確に充電残量を把握することができます。そのため1%単位で、リアルタイムに残量表示をするケースが多いようです。

バイクの場合、大排気量車でも燃料メーターがついていないということは珍しくありません。写真のカワサキ W800のように、「メーターはないが燃料警告灯のみあり、残量が少なくなったときだけ教えてくれる」という車両もあります。
電気自動車のメーター。常に1%単位でほとんど正確な燃料残量を表示することができます。

満タンが長く続くように感じるのは「給油時に入れすぎている」からかも

さて、冒頭で触れた「燃料メーターは満タン表示が長く続く」という点については、設計の問題だけでなく、使い方にも関係しているといえます。

簡単に言えば、メーカーが満タンと設定している値よりも多くのガソリンを入れると、それだけ満タン表示をする時間は長くなってしまうのです。

たとえばスクーターの場合、燃料タンクまでの配管がありますが、ガソリンスタンドで満タンに入れるときには配管部分にまでガソリンがあふれているくらいの状態まで注ぎがちです。

そうすると配管内のガソリンを使い切るまでは、燃料タンク的には満タンということですから、それまでメーターが満タン表示を続けるのは当然なのです。

そもそも設計における満タンとリアルでギリギリまで入れる状態にも差があります。車種によって異なりますが、燃料タンクのギリギリまで入れなくともメーターはフル表示になることが多いはずです。

大雑把なイメージとして、燃料タンク容量を1.00だとすると、実際には1.05くらいのガソリンを入れることができ、0.95くらい入っていれば満タン表示になると捉えておくといいでしょう。こう考えれば、燃料メーターの表示が満タンにした直後はしばらく動かないのも理解できるのではないでしょうか。

もちろん、あくまでもイメージの話であって、メーカーや車種によっても異なります。

ちなみに、完全にアナログだったフロート式の燃料メーターは中間域でもわりとアバウトな印象でしたが、最近のデジタルタイプはメーターが動きはじめてからは、それなりに正確に表示している印象です。

燃料メーターの表示が中間付近のときに、あえて満タンにせず、1Lだけ給油するような実験をして表示がどのように変化するかを把握すれば、愛車のメーター表示をどのように参考にすればいいのかのヒントになりますので、機会があれば試してみてください。

給油をする際「なるべく航続距離を伸ばしたい!!」と、タンクの縁ギリギリまで入れる人もいるでしょう。そのように「物理的に入るだけ」入れた場合、メーカーが想定する「満タン」よりも多めに給油している可能性が高いと思われます。

燃料残量警告灯が点くタイミングに統一基準はない

なお、燃料メーターの表示に関連して、残量が減ったときに点灯する「燃料残量警告灯」というものがあります。50km走行できる程度のガソリンを残した状態で点灯するという話もありますが、あくまで都市伝説レベルの話であって、そうした基準が定められているわけではありません。

残量警告灯の点灯タイミングについてもメーカーや車種によって異なりますので、とにかく点灯したら早めに給油をするよう判断するのが吉といえます。

さらにいえば、バイクというのはタンク内にどれだけガソリンを入れているかで挙動に影響を与えるものです。ライダーの好みもありますが、満タンに近いほうが安定していると感じるバイクもあれば、タンクの半分程度にしていたほうがスパッと曲がれるバイクもあるでしょう。

ロングツーリングに向かう際は満タンにする必要もあるでしょうが、日常的には愛車の気持ちよく走れるくらいのタンク残量を知り、なるべく近いようにしておくというのもバイクの楽しみ方かもしれません。

レポート●山本晋也 写真●ホンダ/スズキ/カワサキ

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