NY時間の終盤に入ってドル円は143.30円付近での推移となっている。きょうのNY市場はリスク回避の雰囲気が広がり、為替市場はドル買いが強まった。前日のドル円は日本の当局による為替介入で一時140円台まで急落する場面が見られた。しかし、根強いドル買いが続く中で、きょうは143円台まで買い戻されており、為替介入による下げの半分を戻している。為替介入によってこれまで以上に145円超えに慎重になっていることが想定される中で、再び上値を試しに行くか注目される。
FRBのインフレ対策への決意が世界経済をリセッション(景気後退)に陥らせるという懸念がさらに強まっている。今週のFOMCが予想以上にタカ派的だったことで市場では、経済縮小のリスクを過小評価してきたとの警戒感が広まっている模様。これまではマイルドな景気後退を見込む声が多かったものの、次第にハードランディングのシナリオも無視できなくなって来ているようだ。
ユーロドルは0.96ドル台び下げ幅を拡大。2002年10月以来の安値水準。FRB同様にECBもここに来てタカ派姿勢を強めており、10月の理事会では0.75%ポイントの利上げの可能性を織り込む動きも見られているようだ。
ただ市場では、ユーロ圏のリセッション(景気後退)を考慮すれば、ECBの利上げには限界があるとの見方も出ている。この日は9月調査のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、製造業、非製造業とも前回から低下していた。景気後退の可能性が深まったことを示唆している。
エネルギー価格高騰を背景にユーロ圏は冬に景気後退に陥り、その中でもドイツは最も深刻な景気後退に陥る可能性が高いという。製造業はエネルギーコスト上昇、長引く供給障害、需要減少などの重荷を負って苦闘を続けている一方、インフレが消費者の購買力を圧迫しており、サービス業も成長を著しく鈍化させている。冬場のエネルギー不足のリスクはいくらか軽減されているものの、依然として見通しにおける重要なリスクと指摘した。
ユーロ圏製造業PMI(速報値)(9月)17:00
結果 48.5
予想 49.1 前回 49.6
ユーロ圏非製造業PMI(速報値)(9月)17:00
結果 48.9
予想 49.1 前回 49.8
きょうはポンドの下げがきつい。ポンドドルは節目となっていた1.10ドルをブレイク。1.08ドル台まで急落した。トラス政権がこの日発表した大型減税策を含む経済対策がポンドを圧迫している模様。1972年以来の大規模な減税を打ち出し、所得税と法人税の両方を引き下げる。不動産購入時の印紙税も削減。また、光熱費高騰への対策として、今後6カ月間で600億ポンドを拠出して支援する。5年間で計1610億ポンド規模となり、市場は逆に財政赤字拡大への懸念を強めているようだ。
ただ、インフレへの懸念から、英中銀の利上げ期待も高まっており、短期金融市場では11月の英中銀金融政策委員会(MPC)での1.25%ポイント利上げを織り込む動きが出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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