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Tuesday, January 25, 2022

<新型コロナ>検査キット製造「春節も休めない」 世界の半分生産の中国 ゼロコロナで国内需要も多く - 東京新聞

 世界で使われる新型コロナウイルス検査キットの一大生産拠点とされる中国では、製造業者が国内外から殺到する注文に追われている。オミクロン株の世界的な流行などで需要が急増しているほか、中国国内ではわずかな感染も許さない「ゼロコロナ」政策で頻繁なPCR検査が対策の主要な柱となっているためだ。(北京・中沢穣、写真も)

24日、北京市中心部のオフィスビル前で、PCR検査の列に並ぶ人々=中澤穣撮影

24日、北京市中心部のオフィスビル前で、PCR検査の列に並ぶ人々=中澤穣撮影

 「昨年後半から注文が急増し、これ以上は受注できない」。河北省石家荘市の河北博海生物工程開発は、24時間体制でPCR検査キットの製造を続ける。経営幹部は、1月末からの春節(旧正月)連休も「休めないかも」と話す。

◆人手足りず 時給1.5倍にボーナスも

 中国メディアによると、検査キット製造企業が集まる浙江省では各企業が数百人から数千人規模で臨時工を集めている。春節期間中は時給を1・5倍にし、6000元(約10万円)程度のボーナスを出す企業も多い。

 香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは業界関係者の話として、世界で流通するPCRや抗原、抗体の検査キットの半分は中国業者が製造すると伝える。検査キットの生産量などは統計がないが、中国税関当局によると、欧米で普及する抗原検査の試剤の輸出は昨年、約670億元(約1兆2000億円)に達した。

◆PCR検査に強いこだわり

 検査キットの需要は中国国内でも強い。感染者が見つかった都市ではPCR検査を繰り返し、新たな感染者を探す方式が定着している。昨年9月の国務院(政府)の通知は、人口500万人以上の都市では3日以内、500万人未満の都市では2日以内に住民全員の検査を終えることを求めた。感染経路が不明な場合は全住民の検査を少なくとも3回行うとも規定した。

 副作用もある。昨年末以降にオミクロン株が広がった陝西省西安市では、住民が氷点下の屋外に未明まで並んで検査を待つ光景が繰り返され、不満が蓄積した。それでも徹底的な検査にこだわる理由について、中国当局者は「中国の医療体制は先進国より脆弱ぜいじゃくだ。市中感染が始まった初期段階で食い止められなければ、医療崩壊につながるという危機感がある」と話す。

◆1日最大38万件 日本迫る検査の限界

 日本政府は、国内のPCR検査は1日に最大で約38万6000件可能だとしている。オミクロン株の急拡大に伴い、今月上旬から全国で連日10万件規模の検査が行われており、現時点で最も多かった14日には22万件を突破。先週分は出そろっていないが、感染拡大で検査数はさらに増えているとみられ、検査能力の限界に近づきつつある。(池田悌一、柚木まり)

新型コロナウイルスの検査

新型コロナウイルスの検査

 厚生労働省によると、新型コロナの流行が始まった2020年2月以降、国内で実施されたPCR検査は計約4200万件。主に医療機関や民間検査会社で検査が進められている。

 1日の検査件数は、「第5波」の昨年8月27日にピークの27万件超となり、感染が落ち着くにつれて減少傾向になっていた。

 オミクロン株の急拡大で再び検査数が跳ね上がった背景には、各地で無料検査が進んでいることもある。首都圏の1都3県は昨年12月下旬から、症状がなくても薬局などで無料検査を受けられるようにした。

◆「これ以上増えたら…」

 厚労省の担当者は「今後、件数がどれだけ増えるか見通せない。備えるためにも、民間検査会社に検査能力の拡大をお願いしている」と説明。だが、ある大手検査会社の担当者は「もうギリギリだ。件数がこれ以上増えると、翌日までに検査結果を出せなくなる。依頼を断らざるを得なくなるだろう」と危機感を募らせる。

 厚労省に助言する専門家組織座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「検査能力には限界がある。優先度の高い検査が確実にできる体制を確保することが必要だ」と指摘している。

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