名跡を受け継いでいる
各種操作が軽いと感じた308だが、ゴルフに乗り換えるとステアリングも他のコントロール類もさらに軽く、これほどだったかと驚いた。正統派のアップライトな運転姿勢もあって、街なかでは軽自動車のように扱える。変わらぬ定番の安心感というものだろう。大横綱ゴルフの8代目は、思い切るならば、先代との違いはパワートレインだけと言っていい。それ以外のハンドリングや乗り心地、室内の快適性や視界のよさなどは、評判が高かった先代ゴルフと変わらない。
「アクティブ ベーシック」と「アクティブ」に搭載される1リッターeTSIは、最高出力110PS/5500rpmと最大トルク200N・m/2000-3000rpmを生み出す。それに対して上位グレードの1.5リッター4気筒直噴ターボエンジンは150PS/5000-6000rpmと250N・m/1500-3500rpmというスペックで、308の1.2ターボはその中間に位置するというわけだ。もちろん、マイルドハイブリッドだけに街なかや郊外一般道などのスピード域では極めて軽快にスムーズに走る。7段DSGの弱点である微速でのドライバビリティーをカバーする滑らかな動き出しや低速域でのスロットルレスポンスを見る限り、48Vマイルドハイブリッドシステムのご利益は明らか。しかし、言うまでもなく1リッターゆえの限界がある。スロットルペダルを深めに踏み込んでも、スカッと空振りするように反応が鈍いこともあるし、負荷や回転数によっては不整脈のような3気筒ゆえのバイブレーションも伝わってくる。山道や高速道路などでは床まで目いっぱい踏んでもなお物足りないと感じる場面があるのは事実である。普段使いにはまったく問題はないものの、オープンロードではある程度の割り切りが必要なパワートレインだ。eTSIは、隙を見つければいつでも、できる限り、むしろちょっと煩わしいほど頻繁にエココースティングと呼ぶエンジン停止状態での惰性走行を選択する。住宅地の裏道をゆっくり走っている時でも作動するほど懸命に燃費向上に努めているのが分かるが、そんな場合でもエンジンのオン/オフなどは極めてスムーズである。このあたりにはプジョーとの優先順位の違いが表れていると言えるだろう。
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