春の実績馬VS夏の上がり馬は、重賞初挑戦の3番人気ガイアフォース(牡、杉山晴)が制した。

4角からゴールまではダービー3着馬アスクビクターモアとの一騎打ち。抜きつ、抜かれつのつばぜり合いを競り勝った。勝ち時計は2分11秒8。父キタサンブラックとの父子制覇を達成し、菊花賞(G1、芝3000メートル、10月23日=阪神)でも父子Vを目指す。3着ローシャムパークまでが優先出走権を手にした。

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抜いて、抜かれて。最後は抜き返した。意地のぶつかり合いは芦毛の上がり馬が勝った。直線入り口。ガイアフォースが内のアスクビクターモアの前に出る。相手はダービー3着馬1頭。松山騎手は「手応えが良かったので、相手を倒しに自分から動きました。最後まで頑張ってしのいでくれました」と攻防を振り返る。1度差し返されたところを、坂上で盛り返す。執念と気迫で頭差抑え込んだ。

裏街道を歩んだ馬が、春の勢力図を少しだけ塗り替えた。昨年9月5日の小倉芝1800メートルの新馬戦。後のダービー馬ドウデュースの首差2着後に骨折が判明。空白の半年をへて、実績を重ねて表舞台に戻ってきた。前走の小倉は良馬場のレコード勝利。この日はやや重の消耗戦で、世代屈指の強敵相手にスタミナを示した。杉山晴師は「どっちが勝つかギリギリまで分からなかった。現状では100点をあげたいです」と満点評価を与えた。

父キタサンブラックとの父子制覇を達成。菊花賞に向けて、この上ない勢いをつけた。杉山晴師は「大きいところに向けてやっていきたい。今日の感じならなんとかこなしてくれるかな。期待半分、不安半分です」とラスト1冠奪取へ意欲を示す。7年前、父も同じローテでクラシック最終戦を制し、歴史的名馬に上り詰めた。松山騎手は「これだけ素晴らしい状態で戻ってきました。まだまだやれる馬。これから一緒に歩んできたいです」とタイトルを見据えた。5戦5連対と崩れのない成績は可能性の塊。仁川のマラソンレースは遅れてきた大物が主役を担う。【松田直樹】

◆セントライト記念の父子制覇 ガイアフォースの父キタサンブラックは15年に優勝。09年に制したナカヤマフェスタを父に持つバビットが20年に勝って以来、同レース5組目の父子制覇となった。

◆ガイアフォース▽父 キタサンブラック▽母 ナターレ(クロフネ)▽牡3▽馬主 KRジャパン▽調教師 杉山晴紀(栗東)▽生産者 追分ファーム(北海道安平町)▽戦績 5戦3勝▽総収得賞金 7802万2000円▽馬名の由来 ガイア(ギリシャ神話に出てくる地母神)の力