これは北極圏の動物の中には新しい住処に移動しないと今後数十年のうちに絶滅してしまうものがいることを意味している。
しかし動物を生息地の外に移動させるのは難しい。例えば、ホッキョクグマを南極に移動させると、南極に生息するペンギンを捕食してしまう可能性がある。場合によっては絶滅を防ぐために動物園で保護しなければいけないこともあるかもしれない。
熱帯地域では、熱波によってサンゴ礁やマングローブの森が滅ぼされる脅威に直面している。報告書によると、1.5度の温暖化で21世紀半ばまでに熱帯地域のサンゴ礁の最大90%が失われ、2度の温暖化でサンゴ礁が完全に絶滅する可能性があるという。
動物の絶滅は人間の生活を脅かす可能性もある
2017年5月5日、セーシェル共和国のビクトリア港の市場で魚を買う男性。
EyesWideOpen/Getty Images
動物種の絶滅は、場合によっては生態系全体を崩壊させる可能性がある。
生態系は、汚染や異常気象、気温の変化から逃れるために、植物や動物その他の生物からなる生物の多様性に依存している。そのため、ある種が絶滅すると、他の種が生き残るのが難しくなる。報告書によると、生物多様性の損失は作物の不作や水不足を招く可能性があるという。そして、たった0.5度の温暖化が、ある種が生き残れるかどうかの分かれ目になる。
IPCCの報告書の著者らは、生物多様性が脅かされている地域の種の絶滅の危険性は、温暖化が1.5度から2度になれば2倍になり、1.5度から3度になれば少なくとも10倍になる可能性があることを明らかにした。
アフリカとアジアでは、4億人以上がタンパク質を漁業に依存している。たとえ気温の上昇が1.6度を超えなくても、地元の海の魚の絶滅により、アフリカの熱帯地域の漁業は21世紀末までに収穫量の最大41%を失う可能性がある。
イワシやニシンなどの一般的に消費される魚も、海が温暖化すると絶滅する可能性がある。
「これは人間の幸福にとっても重要なことだ」 と、この報告書の主執筆者で国際環境開発研究所 (IIED)で人間居住計画部門のディレクターを務めるデビッド・ドッドマン (David Dodman)はInsiderに語った。
「世界中の多くの人々が、食糧を得て、生計を立てるために、自然の生態系との非常に密接な相互作用に依存しているのが現状だ」
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)
からの記事と詳細 ( 気温が4度上昇すると、動植物の半分が絶滅の危機に…IPCCの最新の報告書で - Business Insider Japan )
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