茨城県のまとめによると、県内で二〇二一年度に捕獲された野生イノシシは四千六百八十一頭で、前年度の半分以下に減少した。農業が盛んな本県では近年、イノシシによる農作物被害が問題になっていたが、捕獲の強化や豚熱の流行で個体数が減ってきたとみられる。(保坂千裕)
県は、イノシシなど野生動物による農作物被害を抑え込むための条例を一八年に施行し、侵入を防ぐ柵の設置に補助金を出すなど捕獲の強化に着手。その結果、一八年度には九千五百七十九頭だったイノシシの捕獲頭数は、一九年度は一万一千三百八十七頭、二〇年度には過去最多の一万一千九百六十三頭となっていた。
被害額は一七年度の一億五千三百七十四万五千円をピークに減少し、二一年度は六千二百三十九万三千円まで下がった。
被害が深刻だった県北地域では特に対策を強化。大子町では、二一年度の被害額を前年度から八割減の三十三万七千円に抑えた。
一方、小美玉市では前年度の四倍超の二百二十四万三千円に。単価の高いブルーベリーが被害に遭ったことが一因という。
県は、急激に個体数が減った要因には豚熱の拡大もあるとみる。二〇年六月に感染したイノシシが取手市内で見つかったのを皮切りに、今年八月十二日現在、累計百六十頭の感染が確認されている。
◆柵の仕組み学習 「敵」もしぶとく
梨や柿などの果樹栽培が盛んな笠間市泉では、野生イノシシが農作物を荒らす被害が七年ほど前から頻繁に起きるようになった。対策に電気柵を設置しても、イノシシが仕組みを学習してくぐり抜けてしまうなどいたちごっこが続き、農家は頭を悩ませている。
「イノシシは利口なんだね。親が電気柵の支柱をキバで持ち上げて、子どもを下からくぐらせて畑に入れてしまう」。主に梨をつくっている鈴木宏史さん(70)は途方に暮れる。
果樹の実は、稲や野菜など地面に直接植えられている作物よりは被害が小さいが、木に体当たりして実を落としたり、低い位置にある実を立ち上がって取ってしまったりするという。同地区では、ネギ畑や田んぼが、地中のミミズを狙うイノシシに荒らされたこともある。
梨を中心に野菜も手がける菅谷文男さん(73)は「見かけるイノシシはだいぶ減った」と話すが、地区の有志で設置しているわなには、八月上旬だけで七頭もかかった。「敵」はなかなかしぶといようだ。
菅谷さんは「わなは管理が大変で、本当はやりたくない。稲が育つこれからの時期、また被害は増えるだろう」と困り果てている。
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