つみたてNISA 人気のオルカンを上回るアクティブファンドは?
前回はつみたてNISA対象のインデックスファンド(指定インデックス以外)についてコメントしましたが、今回はつみたてNISA対象のアクティブファンドに着目します。アクティブファンドとは、あらかじめ決められた運用方針のもとで、運用担当者(ファンド・マネージャー)が、投資する企業やその投資割合などを決定し運用するファンドのことです。
前回同様につみたてNISA対象商品の適格要件を確認しますと、指定インデックス投資信託以外の投資信託のつみたてNISA要件は、コストの要件に加えて、
☆ 純資産額が50億円以上
☆ 信託期間が5年以上
☆ 信託期間のうち、資金流入超の回数が2/3以上
といった厳しい要件があります。
つみたてNISA対象商品や適格要件の詳細は、前回コラム「新NISA つみたて投資枠 オルカンを上回る注目のインデックスファンドは?」をご覧ください。
コストが一定以下かつ継続的な人気と長い運用実績がないと指定インデックス投資信託以外の投資信託は、つみたてNISA(=新NISAのつみたて投資枠)の対象とはなりません。
指定インデックス投資信託以外の投資信託は、様々なファンドが含まれるため、SBI証券が独自に分類したものが図表1の分類になります。①インデックス投資信託、②アクティブ運用投資信託、③バランス型投資信託の3種類です。それぞれの対象ファンド数も表示しました。
①は金融庁が指定していないインデックスへの連動をめざずファンドで、NYダウやNASDAQ100、米国高配当株式のインデックスファンドなどが該当します。
②は一般にはアクティブファンドと呼ばれるものです。
③は株式や債券など複数の資産に投資しているファンドで、金融庁が指定していないインデックスを投資対象としている、またはアクティブファンドに投資しているファンドがこの枠に当てはまります。
今回は②のアクティブファンド17本について、特徴と運用成績を確認します。つみたてNISAの適格要件の1つである5年のリターンでランキングしたものが図表2となります。参考として設定来5年を経過した人気のオルカン(=eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))と比較しました。
オルカンの5年リターンを上回ったファンドは、5年リターン順に、①フィデリティ・米国優良株・ファンド、②iTrustインド株式、③キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)、④アライアンス・バーンスタイン・グローバル・グロース・オポチュニティーズ(年金つみたて向け)(愛称:つみたてGGO)の4本となりました。④のつみたてGGOは、SBI証券ではつみたてNISAでの取扱いがないため、図表3の一覧では除外しています。
図表1 つみたてNISA対象商品の内訳 (2023年11月14日時点)
※金融庁のホームページをもとにSBI証券作成
図表2 つみたてNISA対象アクティブファンド 5年リターン上位の特徴と運用成績
※つみたてNISA対象アクティブファンド(SBI証券のつみたてNISA取り扱い)の5年リターンランキング(2023年10月末基準)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
図表3 キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)とキャピタル世界株式ファンドの比較
※2023年10月末基準
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
オルカン5年リターンを上回るアクティブファンドの特徴は?
1位のフィデリティ・米国優良株・ファンドは、持続可能な競争力を有し、長期利益成長が期待できる米国優良企業に投資しています。運用会社であるフィデリティの米国および世界の主要拠点のアナリストによる企業調査結果を活かし、現地のポートフォリオ・マ ネージャーによる「ボトム・アップ・アプローチ」を重視した運用を行なっています。組入上位銘柄はマイクロソフト、アップル、エヌビディア、アルファベット、アマゾン・ドット・コムなどとなっており、組入銘柄数は86銘柄です(※)。つみたてNISA対象のアクティブファンド17本の中では5年リターンでトップですが、5年や3年ではS&P500インデックスファンドにやや劣後しています。ただし、1年リターンではS&P500インデックスファンドを上回っています。つみたてNISA制度がスタートした2018年1月からつみたてNISA対象ファンドとなっています。
2位のiTrustインド株式は、インド企業の株式を投資対象とし、銘柄選択においては、ピクテ・グループによるボトムアップによるファンダメンタルズ分析に基づき、安定した成長が期待できる企業を厳選しているファンドです。組入上位銘柄はソフトウェアサービスのインフォシス、商業銀行のHDFC銀行やICICI銀行、生命保険会社のSBIライフ・インシュランス、ITサービスのHCLテクノロジーズなどとなっており、組入銘柄数は25銘柄です(※)。インド株式ファンドの中では5年リターンは中位となっており、つみたてNISAで買うことができる唯一のインド株式ファンドです。値動きのブレを示す標準偏差(3年)が相対的に小さくなっており、直近3年ではインド株式市場の安定化を反映しているといえます。2023年6月9日からつみたてNISA対象ファンドとなりました。
3位のキャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)は、キャピタル・グループの徹底した企業分析に基づき、新興国を含む世界各国の株式に分散投資するファンドです。キャピタル・グループは、1931年の創業以来、資産運用専業を貫いてきた独立系資産運用会社で、世界各国で資産運用サービスを提供し、米国では最大級の資産規模を有する会社のひとつです。このファンドは新興国や日本を含む世界の株式が投資対象のため、オルカンと同じカテゴリーとなります。3年リターンでは苦戦していますが、1年・5年ではオルカンを上回っています。組入上位銘柄はマイクロソフト、デンマークの医薬品メーカーのノボノルディスク、メタ・プラットフォームズ、テスラ、ブロードコムなどとなっており、組入銘柄数は277銘柄です(※)。つみたてNISA対象ファンドとなったのが2021年10月1日ですが、SBI証券では2023年11月19日からつみたてNISA対象ファンドとして取扱いを開始しました。つみたてNISA(=新NISAのつみたて投資枠)でしか買えないファンドとなっており、新NISAの成長投資枠などでの一括購入ができないファンドとなっています。成長投資枠で投資できるファンドはキャピタル世界株式ファンドとなります。2つのファンドを比較したものが図表3となり、同じ外国籍投信に投資していますが、キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)は信託報酬が低く設定されていることから、キャピタル世界株式ファンドよりもパフォーマンスが良くなっていると考えられます。
図表2にある5ファンドの5年パフォーマンス比較が図表4となります。
フィデリティ・米国優良株・ファンドとS&P500は投資対象が米国株式で同じということもあって値動きが似ています。そのため、フィデリティ・米国優良株・ファンドについては、S&P500と組み合わせることは有効とはいえませんが、オルカンと組み合わせることで、「プラスα」のリターンが期待できました。
また、iTrustインド株式やキャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)についても、直近5年ではオルカンを上回っており、オルカンと組み合わせて投資することが有効だったといえます。
対象ファンドが多様化し、非課税枠が大きく拡がる新NISAのつみたて投資枠において、「プラスα」のリターンをめざすひとつの方法として、オルカンに加えて好成績のアクティブファンドなどを組み合わせて投資する「オルカン+α」という視点でのファンド選びも有効と考えます。
(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報および資産構成比は2023年9月末基準。
図表4 各ファンド(図表2)の5年パフォーマンス比較 (2018年10月~2023年10月 月末値 2018年10月=100)
※QUICKデータをもとにSBI証券作成 (ファンド名は一部略称)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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