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Thursday, December 7, 2023

パッシブ投資とアクティブ投資、何が違うの? 前者が初心者向け、後者が玄人向けの投資アプローチ - Business Insider Japan

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ここでは、パッシブ投資とアクティブ投資の戦略を比較してみよう。

StratfordProductions/Shutterstock

  • パッシブ投資のゴールは、インデックスファンドのような資産を使って市場の成功を再現することだ。
  • アクティブ投資は頻繁に取引を行い、リスクの高い手法を活用して市場を上回るリターンを目指す。 
  • パッシブ投資戦略は、個人投資家や投資初心者に人気がある。

すべての投資家が同じ投資戦略を活用するわけではない。投資に対するアプローチは、資産目標や経験値によって変わることがある。

通常、初心者で投資に詳しくない人は、手数料とリスクを抑えて長期安定的な資産形成に注力するパッシブ投資の道を辿る。

一方、経験豊富で高度な投資家は、一攫千金の可能性を求めて、市場の短期的な変動を捉える積極的な投資アプローチであるアクティブ投資を好む。

ではパッシブ投資とアクティブ投資を比較してみよう。

パッシブ投資 vs. アクティブ投資

パッシブ投資 アクティブ投資
・市場に連動することが目的
・初心者に最適
・長期的な資産形成を目指して取引頻度を抑える
・手数料は低く最低限
・低リスク
・リターンは小さい可能性
・市場に勝つことが目的
・経験豊富な投資家に最適
・税務管理や短期的な値上がり益のために頻繁に取引
・管理費および取引手数料が高い
・高リスク
・かなり高いリターン(と損失)の可能性

パッシブ投資とは何か?

パッシブ投資(別名:パッシブ運用)は、市場を上回るリターンを目指すのではなく、市場に連動し、同じように成長することを目指した、低コストで長期的な投資戦略である。パッシブ投資を行うなら、株式市場の日々の変動に一喜一憂してはならない。

「パッシブ投資の本質は、相場変動にかかわらず、株式、債券およびその他資産の組み合わせを購入し、それを保有し続けるという長期的な投資アプローチ」と、ファセット(Facet)の創業者でファイナンシャルウェルネス部門の統括者であるブレント・ワイスCFPは言う。

買い持ち(バイアンドホールド)戦略は最も一般的でよく知られたパッシブ運用手法のひとつだ。市場のタイミングを計り、頻繁に取引を行う代わりに、買い持ち戦略では冷静さを保ち、楽観的な見通しを維持することが求められる。同じ投資商品を長期間持ち続けることで、将来より高いリターンを得る可能性が高まるのだ。

パッシブ投資の長所

リスクが小さい:パッシブ運用ファンドは、分散を容易にするために、市場全体にわたり数多くの異なる株式、債券、その他資産に投資する。資金をすべて1つの銘柄に投じるわけではないので、相場変動の影響を受けにくい。

インデックスファンドは一般的に低コスト、低リターンなので、パッシブ投資戦略で一般的に使われる。インデックスファンドは生来分散されており、新興国市場、大型株またはテクノロジー企業といった市場の特定分野やより幅広いセクターに連動するように設計される。

手数料が低い:低コストの上場投資信託(ETF)やパッシブ運用投信などのインデックスファンドは、運用報酬が低く、取引回数も少ない手頃な投資商品だ。また、パッシブファンドはアクティブファンドほどメンテナンスもリサーチも必要ないため、手数料が安くなる傾向にある。

ワイス氏は言う。「投資に関しては、いくら儲かるかだけではなく、どのくらい資産を維持できるかが大事だということを覚えておこう。低い手数料で税金支払額を安く抑える投資は、より多くの資産に働いてもらうことを意味する」

税金管理:取引頻度が少なければ、税金も少なくなる。また、将来税負担が増えるような課税事象もそれほど多くないだろう。

投資商品の売買が少ないということは、キャピタルゲインのような課税事象が少なくなり、最終的にこの先投資家が支払う税金が減ることを意味すると、ワイス氏は指摘する。

初心者にも簡単:多くのオンライン証券会社が、ユーザーフレンドリーなインターフェースを備えたマネージドポートフォリオという選択肢やロボアドバイザーを取り揃えており、一般的にパッシブ投資家や投資初心者へのサポートは厚い。

マネージド口座経由の投資は、個別の株式や債券の選定リスクを取ることなく、市場エクスポージャーを得る最善の方法のひとつだ。また、ウェビナーや暗号資産を保有することで報酬が得られるステーキング・リワード・プログラムなど、資産形成ツールや教育コンテンツも利用できる。

高リターンの可能性:アクティブファンドと比べてパッシブファンドはパフォーマンスが良く、平均リターンが高いことが多い。それは主に、長期的に資産を構築できる買い持ち戦略だからだ。パッシブファンドのリターンは市場のある地点ではアクティブファンドを下回るかもしれないが、通常そうした状態は長くは続かない。

透明性:パッシブファンドの透明性は高いことが多い。普通、インデックスファンドやETFの名前を見れば、そのファンドが何に投資をしているかわかる。例えば、バンガードS&P 500 ETFはS&P500種株価指数に連動しているし、フィデリティZERO大型株指数ファンドは、S&P500米国大型株に投資する。

パッシブ投資の欠点

投資機会や柔軟性が限定される:パッシブファンドはアクティブファンドに比べて制約が多いかもしれない。投資先は、あらかじめ決まった投資選択肢で構成されるインデックスファンドに主に縛られるだろう。不動産やコモディティなど、特定の市場分野に投資するパッシブファンドもあるが、それでも投資家の選択肢は限定的だ。投資家はまた、自分のお金の投資方法を積極的に決められない。

「ほとんどの人にとってパッシブ投資は理に適っているものの、投資額や利用する口座、リバランス、税金の管理、リスクの調整など、自分で投資計画を立てて進めていくこともやはり大事なことだ」とワイス氏は説明する。

パッシブ投資の場合、投資に対する柔軟性は低い。これは、投資先を選別する責任から解放される一方、時流に乗った投資機会を活用して儲けることはできない。同様に、インデックスファンドに投資をするということは、そのファンドに含まれるすべての資産に投資をすることになる。ファンドに含まれる個別の銘柄を追加したり除外したりする自由はない。

低リターンにとどまる可能性:取るリスクが少ないほど得られるリターンも減る可能性がある。パッシブファンドは市場を上回るのではなく市場に連動するよう設計されているため、市場に勝つことはほぼない。ある銘柄が急騰して心躍らせることもないだろう。

アクティブ投資とは何か?

アクティブ投資(別名:アクティブ運用)は、頻繁に取引を行い、人任せにしない投資家が活用する投資戦略だ。市場に連動することを目指すパッシブ投資とは異なり、アクティブ運用の目標は市場を上回ることだ。

経済、金融分析、市場に専門知識を持つポートフォリオマネージャーが、アクティブファンドの運用を担当することが多い。こうしたプロによる運用にはコストがかかるかもしれないが、特定資産を売買する最高のタイミングを計るには、徹底した市場理解が欠かせない。理論上、適切な知識を持つ人ならだれでもアクティブに運用できるが、プロを雇うのに比べてリスクが高まるだけかもしれない。

また、市場データや経済情勢に基づき、あらかじめ用意された投資ポートフォリオであるアクティブ投信やETF(上場投資信託)に投資することも可能だ。だが、パッシブファンドと違い、アクティブファンドは相場変動の影響が大きい。そのため、アクティブ運用は長期的な投資ゴールに向けた投資戦略としては推奨されない。

「調査によると、投資家やファンドマネージャーがたまに市場に勝つことはあるが、大部分の投資家が長期間一貫して市場に勝つことはない。このことには留意が必要だ」とワイス氏は言う。「現実には、アクティブファンドが生み出すいかなる優位性も、マネージャーが課す追加手数料、取引コスト、高い税金によって相殺されてしまうことが多い」

アクティブ運用の長所

柔軟性や取引の選択肢が増える:ポートフォリオマネージャーは、特定のインデックスファンドや事前に決められたポートフォリオに縛られる必要がない。むしろ、アクティブファンドマネージャーは、短期的にベンチマークに勝つために、リアルタイムの市場動向に適し、対応できると考える投資商品を選ぶことができる。

投資ポートフォリオを自分で管理しようと思っているなら、豊富な金融知識や経済専門性を身に着け、相場変動という性質の犠牲にならないようにすることだ。

主に買い持ち戦略を活用した長期資産形成を目的とするロボアドバイザーと違い、アクティブ投資家は、空売りやヘッジなどの取引戦略を実践できる。空売りとは、安値で買い戻すことを期待して、投資家が保有していない株式を証券会社等から借りて売却することだ。ヘッジとは、投資家を潜在的な損失から守るためのリスク管理戦略である。タックスハーベスティングの機会が増える:ポートフォリオマネージャーは、タックスハーベスティングの機会を見いだし、納税額を減らす取引の最善の執行方法を知っているかもしれない。タックスロスハーベスティングとは、投資家が株式やETFなどの証券をロスを出して売却し、投資ポートフォリオにある他の銘柄で出たキャピタルゲインを相殺するというものだ。この機能を持つロボアドバイザーもあるが、人によるアドバイスには、より多くのタックスロスハーベスティングの機会を見つける専門知識やインセンティブが含まれている。

高リターンを上げる可能性:高いリスクには高いリターンを上げる可能性がある。市場を上回るパフォーマンスを上げようとすれば損失を被る可能性は高くなるものの、成功した暁には天文学的なリターンが得られるかもしれない。ギャンブルと同様に、大儲けの見込みは魅力的で見逃せないだろう。

アクティブ運用の欠点

リスクが大きい:アクティブ投資は、空売りやヘッジのような積極的な取引戦略を活用することで、短期的な相場変動から利益を上げようと努める。アクティブファンドマネージャーが成功すれば、大きなリターンが得られるかもしれない。だが、失敗すれば、全額とはいわないまでも大半の資産を失いかねない。

手数料が高い:アクティブ運用には高頻度の取引とより専門的な知識が必要なため、ファンドマネージャーの手数料が高くなりがちだ。また、アクティブファンドの経費率は0.5~1.00%と、パッシブファンド(0~0.5%)に比べて高い。

課税事象が多い:キャピタルゲインを狙って株式の空売りをするといったアクティブな投資戦略を実践する一方、納税額は増えるだろう。追加リターンが結局は税金で吹き飛んでしまうかもしれない。

「アクティブ投資は、投資家の課税事象(例:キャピタルゲイン)を増やす。つまり、将来的に税金を多く払わなければならない」とワイス氏は言う。

だが例外はタックスロスハーベスティングだ。というのも、タックスロスハーベスティングの目的は、キャピタルゲインとキャピタルロスを相殺して納税額を引き下げることだからだ。

パッシブ対アクティブ投資—よくある質問(FAQ)

Q1. アクティブファンドとパッシブファンドのどちらが良いか?
  • アクティブファンドとパッシブファンドのどちらが良い投資選択肢かは、個人の好みと資産目的によって異なる。パッシブファンドは低リスク・低コスト資産を求める初心者や個人投資家に一般的に向いている。アクティブファンドは市場知識が豊富で高いリスクを厭わない、経験豊かな人任せにしない投資家に適している。
Q2. アクティブ投資とパッシブ投資の主な違いは?
  • アクティブ投資とパッシブ投資の主な違いは、アクティブ投資は株式市場を上回るパフォーマンスを上げるために頻繁に取引をすることである。パッシブ投資は買い持ち戦略を活用して、市場パフォーマンスに連動させる。
Q3. パッシブ投資の例は?
  • パッシブ投資の一例がロボアドバイザーだ。ロボアドバイザーは、資産をパッシブに運用する株式、ETF、インデックスファンドに投じる低コストで初心者に優しい投資プラットフォームである。
Q4. パッシブ投資の人気が高いのはなぜか?
  • ロボアドバイザーを使ったパッシブ投資の人気が高まっている。AcornsWealthfrontおよびSoFiといったロボアドバイザー業者は個人投資家に対して、初心者に優しい手頃なインターフェースを提供しており、それを活用して投資家は市場にアクセスし、投資について学べる。大半のロボアドバイザーはモバイル取引プラットフォームを提供している。一方、より大きな金額で高リスク投資から高いリターンを求める洗練されたトレーダーの間では、いまなおアクティブ投資が人気である。 

どちらの投資スタイルが自分に合っているか?

アクティブ投資とパッシブ投資のどちらか自分に合った投資スタイルかは、資産目的、リスク許容度、投資期間、経験によって異なる。初心者には、ロボアドバイザーを使ったインデックスファンドや低コストのETF投資のようなパッシブ戦略が適している。だが、リスク許容度の高い経験豊かな投資家は、日々の相場における頻繁な取引がもたらす興奮や相場変動を好むかもしれない。ワイス氏の経験では、アクティブ投資はプライベートエクイティやベンチャーキャピタルのようなかなり特別な状況に適していることが多い。

ワイス氏は言う。「アクティブ投資は、極めて具体的なリスク、課題または機会に対応する必要がある際には合理的だろう。だが、一般的にたいていの個人投資家には、長期的な資産形成に向けて、先を見越して作成された自分に合った進化する投資戦略とファイナンシャルプランの一部として、パッシブ運用を活用するのが良い」

だが、投資手法をひとつに絞る必要はないことは覚えておこう。パッシブファンドにもアクティブファンドにも投資できるのだ。どうやって始めたらよいかわからなければ、ファイナンシャルアドバイザーに相談して、自分に合ったファイナンシャルプランの作成をお願いしてみよう。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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