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Tuesday, December 5, 2023

アクティブラーニング、PISAに合致 伸びた読解力、欠けた語彙 - 毎日新聞

高校入試を控えた生徒に国語の問題のアドバイスをする個別指導塾「スクールIE 八千代中央校」の教室長、宮野佑隆さん(中央)=千葉県八千代市で2023年11月27日、李英浩撮影
高校入試を控えた生徒に国語の問題のアドバイスをする個別指導塾「スクールIE 八千代中央校」の教室長、宮野佑隆さん(中央)=千葉県八千代市で2023年11月27日、李英浩撮影

 経済協力開発機構(OECD)の2022年の国際学習到達度調査(PISA)で、日本の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野は順位、得点のいずれも上昇した。義務教育段階の学力の高さが示されたが、好成績からは見えにくい、日本の教育の課題も横たわっている。

国語教育 かじを切りすぎた

 前回18年に8位から15位に急落していた日本の「読解力」は、今回は3位でV字回復した。文部科学省が「主体的、対話的で深い学び」(アクティブラーニング)を掲げた学習指導要領を21年度から中学校で実施し、PISAの出題傾向と親和性の高い学習活動が広がったのが一因とみられる。

 これまでの出題を見ると、企業のウェブサイトや雑誌記事などを示した上で、必要な情報を探し出させたり、内容の信頼性を評価させたりするなど、実生活での課題解決力を問う内容だ。

 「読解力は、かねて日本の子供の課題だった。(PISAが測る)『情報を探し出す』『評価して比べる』といった学びを進めてきた学校の取り組みが影響した可能性はある」と文科省担当者は分析した。

 03年の調査では、日本は読解力が8位から14位に急落し、文科省に「PISAショック」を与えた。これが学校での学習量を見直す「脱ゆとり教育」の契機となり、アクティブラーニングを重視する後の指導要領へとつながった。

 国語の教科書では、実用的な文章を取り上げる例が目立ち、他の教科でもいくつものデータや文章を基に子供に考えさせる構成が導入されるようになった。21年に始まった「大学入学共通テスト」でも、文章を読み比べながら情報を整理する問題が教科・科目の壁を越えて出された。一つの帰結点である大学入試までもが変わったことで、学校も子供も学習内容の変化に対応せざるを得なくなった。

 「前回のPISA結果が示されて以降、読解力を問う問題は多くなったようだ」。年明けの高校入試に向け、中学3年生がラストスパートの時期を迎え始めた千葉県八千代市の個別指導塾「スクールIE 八千代中央校」の教室長、宮野佑隆さん(33)は言う。

 宮野さんによると、県内の高校入試や中学校の定期テストでは、漢字などの知識量を試す問題に代わり、読解力や思考力を測る問題の割合が増えたという。

 入試にとどまらず、あらゆる学びの場面で「PISA型」の能力が一層求められるようになり、塾生で中学3年の千葉和奏(わかな)さん(15)は「読む力は理系の科目でも必要になるので、普段の生活で、頭に浮かんだことを言葉にして考えるくせをつけている」。一方、宮野さんは「読解が得意な子は多いが、…

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