Pages

Saturday, August 20, 2022

家族半分が陽性 記者奮闘記 自宅待機で感染におびえ、支援に涙:山陽新聞デジタル|さんデジ - 山陽新聞デジタル

長男の療養中、スマートフォンで毎日体調を報告していた国のシステム「My HER-SYS(マイハーシス)」

長男の療養中、スマートフォンで毎日体調を報告していた国のシステム「My HER-SYS(マイハーシス)」


 全国的に猛威をふるう新型コロナウイルスの流行「第7波」の最中にあった7月下旬、小学6年の長男が感染した。家族は濃厚接触者となり、10日間の自宅療養を余儀なくされた。結果的に40代の夫も発熱し、陽性判定。さんデジ編集部の女性記者本人(40代)と高校2年の長女は感染を免れた。家族の看病をしながら、いつ自分が体調崩すかと不安に駆られ、精神的に追い詰められた日々。その一方で、感染者に対する理解や優しさを実感することもできた。夏休みにわが家を襲った怒涛(どとう)の日々を振り返る。

■生活のルール


 スポーツの県外大会に出場するため、長男と同じ部屋に泊まっていた子が発熱し、コロナ陽性と診断された―。7月25日夜、長男に同行していた夫から連絡が入った。長男は無症状だったが、翌26日の帰岡後すぐ、ママ友からPCR検査をしてくれると教えてもらった自宅近くのクリニックに連絡。自家用車に乗ったまま、医師が検査してくれ、2時間後に再び来院。「陽性」を告げられた。やはりという思いと、これからどうなるのか、仕事への影響などさまざまな思いが交錯した。

 帰宅後はバタバタだった。会社へ報告し、仕事のリスケジュール、両親ら家族への連絡…。そして、わが家の生活のルールを決めた。長男と夫はリビングと和室以外の立ち入り禁止。みんなマスクを着用する。洗顔や手ふきタオルも各々用意し、トイレなど使用後は、便座やドアノブなど記者が消毒して回った。トイレ、廊下、洗面所の床は毎日磨き、1日最低2回は家中の窓を空けて換気、シーツや枕カバーも毎日洗った。洗濯機は毎日3~5回とフル回転。ウイルスを追い出したい一心だった。

■やはり発熱


 診断を受けた日は無症状だった長男だが、翌日昼ごろ、いきなり39.5度の熱が出た。大好きなゲームをすることもなく、和室でぐったり。ガーゼを巻いた保冷剤を両脇と足の付け根に当て冷やしたほか、食欲がないため、スポーツ飲料、スイカなどでこまめに水分補給した。2日間は37~38度台で推移。平熱に下がった後は下痢や、たんに悩まされたが、徐々に元気を取り戻していった。

 長男の症状が落ち着き、やれやれと思ったら、今度は夫が発熱。29日夕、一気に40度まで上がり、「息が苦しく肺炎かもしれん」と言う。「おいおいマジかよ」。近くの病院に連絡したものの、外科医しかおらず、別の近隣の病院に電話した。「PCR検査はできないがいいか」と何度も念を押される。検査キット数に余裕がないのだろう、それでもいいと伝えた。いつ帰宅できるか分からないため、夕食の片付け、風呂、就寝の準備などして、長女に長男を託して自家用車で病院に向かった。

 午後8時20分。駐車場に到着したことを電話で知らせ、車の窓を全開にし、ひたすら呼び出しを待つこと約2時間半。診察を受けたのは同11時。問診で明らかに陽性だと思ったのだろう、PCR検査を受けることができた。その場で結果が分かり、案の定「陽性」。血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターは正常値で、医師から「軽症で自宅療養です」と告げられ、ホッとしたのか、夫の息遣いは健やかになった。帰宅したのは午前零時前だった。

■3食準備がストレス


 保健所から指示を受けた長男の療養期間は8月5日までの10日間。夫も元々軽いのどの痛みがあったことから、長男と同じ日程になった。濃厚接触者である記者と長女の自宅待機期間は7月31日までの5日間。8月1日から出社できることになるが、無症状の陽性者という可能性もあり、さすがにためらわれた。復帰前にPCR検査を受けることなり、ネットで探したところ、民間の検査機関は4日後まで“満杯”。最速の5日午前に予約を入れ、結局、会社は6日まで休むことにした。

 毎朝起きるのが怖かった。熱はないか、のどは痛くないか、倦怠(けんたい)感はないか…。PCR検査で陽性になったら、療養期間はいつまでか、ただでさえ10日も休むのにさらに延びたら同僚に申し訳ない―。もう頭の中はマイナス思考でいっぱい。外出して気分を紛らわすこともできない。リビングのテレビは占領されており、ドラマや映画を見ることもできないし、見る気分にもなれない。完全に心が病んでいた。家族に言わせると「不機嫌」だったそうだ。当たり前だろう。

 そして、何よりしんどかったのが、3食の食事作り。長男が元気になったのは素直にうれしいが、昼ご飯を用意したそばから、晩ご飯は何かと聞かれ…。備蓄していたレトルト食品や缶詰、インスタント食品も活用した。賞味期限が少々過ぎているものもすべて食べ尽くした。幸い、わが家は記者の母が野菜や果物、肉などを届けてくれ、食材には困らなかったが、こんなに家事にいそしんだのは人生で初めてだったかもしれない。

自宅待機期間中に活躍したレトルト食品。日頃から備蓄しておくことが大切

自宅待機期間中に活躍したレトルト食品。日頃から備蓄しておくことが大切


■心遣いにホロリ


 そんなすさんだ記者の心を癒やしてくれたのが、ママ友や会社の同僚の心遣いだ。「コロナに負けるな!復帰をお待ちしてます」―。こんなメッセージカードと一緒に、松坂牛のハンバーグやベーコンなどが入ったセットが届いた。送り主は同じ部署の後輩。2人の小学生を持つ母親で、家事三昧の記者の気持ちを誰より察してくれた。思わぬプレゼントに涙があふれた。また、自宅待機生活を送った経験のある先輩から、デザートセットが送られてきた。商品はもちろんだが、誰かに気にかけてもらえるというのは、こんなにも心にしみるのかと。思いやりって大切なんだ。

 「必要なものがあればなんでも言って。届けるよ!」と定期的に連絡をくれたり、夜中に電話で2時間近く私の愚痴に付き合ってくれたママ友もいた。保健所の保健師さんも連日大変な状況なのに、息子の状況を聞き取りながら、優しい言葉をかけてくれた。心に余裕ができ、恐怖でしかなかったPCR検査も、どんな結果も受け入れるしかないと覚悟を決めた。検査を受けて帰宅し、しばらく経った午後2時過ぎ、メールで届いた「陰性」の結果に、小躍りしたのは言うまでもない。努力が報われたと思った瞬間だった。

松坂牛のハンバーグで快気祝い

松坂牛のハンバーグで快気祝い


 岡山県内の新規感染者数も18日に初めて4千人を超え、一向に収まる気配はない。親が先に感染してしまったり、子どもが未就学児だったりしたら、もっともっと大変だろう。これまで以上に感染対策に気を配るとともに、感染者に対し、気配り目配りができるよう心掛けたい。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 家族半分が陽性 記者奮闘記 自宅待機で感染におびえ、支援に涙:山陽新聞デジタル|さんデジ - 山陽新聞デジタル )
https://ift.tt/7pcJtdP

No comments:

Post a Comment